2024/03/14(木)06:06
中国が輸出規制を実施 = 半導体の材料となる 「ガリウム」「ゲルマニウム」[2023年8月1日報道]
こんにちは。 スティッキー少尉です。
・ 中国政府は2023年8月1日から、半導体の材料となる希少金属、ガリウムとゲルマニウムの関連品目について、輸出規制を実施した。という旨のニュース報道があった。[2023年8月1日報道]
(以下は、「NHK NEWS WEB」 の記事です。URLアドレスは [https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230801/k10014148541000.html])
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中国 半導体の材料などの希少金属 きょうから輸出規制を実施
2023年8月1日 12時29分
中国政府は、半導体の材料などに使われる希少金属、ガリウムとゲルマニウムの関連品目について、きょうから輸出規制を実施します。先端半導体などの輸出規制を行うアメリカや、製造装置の輸出管理を厳しくする日本に対してけん制するねらいがあるとみられます。
希少金属のガリウムとゲルマニウムは半導体やLED、太陽電池など、さまざまな電子部品の製造に使われる材料で、ガリウムは中国の生産が世界の9割以上、ゲルマニウムは埋蔵量が世界のおよそ4割を占めています。
中国政府はきょうから「輸出管理法」などに基づいて、ガリウムとゲルマニウムの関連品目について輸出規制を実施します。
関連品目を輸出する企業に対し、最終的な利用者や用途を示すなどしたうえで、政府の審査を受けて許可を得ることを義務づけるとしていて、違反した場合には処罰するとしています。
今回の措置について中国政府は、国家の安全と利益を守るためだとしていて、中国に対して、先端半導体や製造装置の輸出規制を行っているアメリカや、先端半導体の製造装置の輸出管理を7月23日から厳しくした日本などをけん制するねらいがあるとみられます。
これらの希少金属は、日本企業も中国から多く輸入しています。
中国政府の審査が厳しいものになれば、輸入が滞ることも予想され、さまざまな製品のサプライチェーン=供給網に影響が及ぶ可能性があり、懸念が出ています。
「ガリウム」とは
ガリウムは、アルミニウムなどの採掘の副産物として抽出され、LEDや半導体の材料などとして使われています。
中でも、関連品目として輸出管理の対象となっている窒化ガリウムは、電気自動車用のパワー半導体など、高性能半導体向けとして、需要の拡大が期待されています。
アメリカ地質調査所によりますと、去年、世界で生産されたガリウムは550トンで、そのうちの98%余りにあたる540トンを中国が生産しています。
「ゲルマニウム」とは
ゲルマニウムは、光ファイバーや太陽電池、それに半導体の材料などとして使われていて、アメリカ地質調査所によりますと、2016年時点の埋蔵量でみると、中国は世界の41%を占め、アメリカに次いで2位となっています。
今回の措置について中国政府は、輸出の禁止ではなく、規定に適合すれば輸出を許可するものだとしていて、企業の間で、サプライチェーンへの影響が懸念される中、中国政府の対応がどこまで厳しいものになるかが注目されています。
経済産業省 国内メーカーへの影響注視
中国政府が新たに輸出規制の対象とする希少金属のガリウムとゲルマニウムは、日本で半導体の素材などに幅広く使われていて、経済産業省は、調達している国内メーカーに聞き取り調査を行うなど影響を注視しています。
【ガリウム】
このうちガリウムは、半導体の素材として使われ、携帯電話やLED、液晶テレビなど幅広い用途で活用されています。
JOGMEC=エネルギー・金属鉱物資源機構によりますと、2017年のデータでは、日本国内で供給された165トンのうち、半数以上の94トンを輸入に頼っています。
輸入先のシェアは、
▽中国が69%と最も高く、
次いで、
▽ロシアの6%
▽アメリカや台湾、それにドイツが5%となっています。
【ゲルマニウム】
一方、ゲルマニウムは、半導体の基板となるウエハーや光ファイバーなどの素材として使われ、供給量のほぼすべてを輸入に依存しています。
このうち、ウエハーなどに使われるものは、2020年のデータでは、日本に4.6トンが輸入されています。
輸入先のシェアは、
▽中国が71%と最も高く、
次いで、
▽アメリカが22%となっています。
いずれも、中国への依存度が高いことから、経済産業省は、新たな輸出規制が国内メーカーの調達に及ぼす影響を懸念しています。
これまでの各社への聞き取り調査では、ガリウム、ゲルマニウムのいずれも、数か月分の在庫を確保できているということです。
経済産業省は今後、中国の輸出規制の運用を見極めながら、国内でのリサイクルの促進や、中国以外の輸入先の確保を支援することなどを検討していくとしています。
ガリウム使用の日本企業各社は
ガリウムは、中国が世界最大の産出国で、特に日本メーカーの間では世界で開発競争が激しさを増す、次世代のパワー半導体の材料としても使われます。
▽大手化学メーカーの三菱ケミカルは、半導体の基板の生産などでガリウムを使っています。
国内で一定程度の在庫を確保していることから、短期的には影響は出ないとみています。しかし、中長期的な見通しが立たないことから、輸出規制の具体的な内容について情報収集を進めています。
▽DOWAホールディングスは、子会社が高純度のガリウムを手がけていて、材料のおよそ半分は主に中国から輸入し、残り半分はリサイクル由来の材料を使っています。供給先は国内の半導体メーカーなどで、今回の影響については確認中だとしています。
▽半導体メーカーのロームは、ガリウムを材料に使う高性能のパワー半導体を開発し、試作品の供給を始めています。
今の時点で影響はないものの、将来の見通しを分析しています。
中国からガリウム輸入 都内の商社は
中国からガリウムを輸入し、日本の取引先に卸している都内の商社は、中国政府による輸出規制の詳細がどうなるのか情報を得られていません。
この商社は、ガリウムの地金や化合物、それにガリウムを含む半導体材料などを取り扱っています。
現地の担当者が中国の当局に直接、確認したところ、今回の輸出規制が始まると、
▽これまでの手続きにはなかった申請項目が設けられたり、
▽提出する書類の数が増えたりするなど、
輸出手続きが複雑になるという説明を受けたということです。
中国政府の発表から1週間ほどたった7月中旬、輸入の担当者は、半導体材料メーカーなどとの打ち合わせを終えて事務所に戻り、社長への報告や取引先からのメールの対応に追われていました。
日本の取引先から届いたメールには、ふだんの発注の5倍から6倍にあたる200キロの原料を1度に送ってほしいという依頼が書かれていました。
中国政府が輸出規制を明らかにした直後から、日本の多くの取引先から調達を増やしたいという連絡が相次いでいます。
しかし、輸出規制が始まるまでの1か月間で、確保できる量は限られているといいます。
この商社では、年間の売り上げのおよそ10億円のうち、6割から7割をガリウム関連が占めていることから、今後の中国政府の出方しだいで、大きな影響が出ることを懸念しています。
輸入商社「ウイング」の尉遅若旭さんは「ガリウムが生命線なので非常に心配しています。政府がどれだけ厳しく管理するのか、どのぐらいの期間で許可が取れるかというのは、全く見えない。こういう主原料は、厳しく管理すると当然、世界のサプライチェーンの大混乱につながる。8月から、いろいろな業界で混乱が起きると思いますが、規制が緩くなることを期待するしかないです」と話していました。
中国のねらいは
中国では、習近平国家主席が「国際的なサプライチェーンの中国への依存度を高めることで、外国による供給網の遮断に対し、強力な反撃と抑止力を形成する」という方針を示しています。
アメリカなどを念頭に、外国が中国に依存する資源などを、いわば「武器」として用いるねらいとみられ、3年前には、安全保障に関わる製品などの輸出規制を強化する「輸出管理法」を施行しました。
今回の措置も、この法律などに基づくものです。
中国商務省の束※カク※テイ報道官は、7月の記者会見で輸出管理について、「目的は、国家安全を守ることで、国際義務をよりよく履行するためだ。輸出の禁止ではなく関連の規定に適合すれば輸出を許可するもので、特定の国を対象にしてはいない」と述べています。
一方で、アメリカが半導体の輸出規制の強化を検討していると報じられていることについては、「中国の半導体に対する圧力と制限を継続的に強めていて、世界の半導体市場を人為的に分裂するものだ。アメリカの手法は中国企業の正当な権益を損なうばかりだけではなく、多くの国と地域の利益にも損害を与えている」と強く反発しました。
また、中国の政府系の英字紙は元商務次官がインタビューの中で、希少金属の輸出規制について「反撃の始まりにすぎない。中国に対するハイテク分野の規制が強化されるなら、中国の対抗措置もさらに強化される」と述べたと伝えていて、中国側には、アメリカのほか、半導体関連製品の輸出管理を厳しくする日本やオランダなどをけん制するねらいがあるという見方が強まっています。
※「カク」は「王」に「玉」、※「テイ」は「女」に「亭」。
米の“中国向けの半導体輸出に新たな規制”で
中国向けの半導体輸出をめぐって、アメリカのバイデン政権は去年10月、新たな規制を行うことを明らかにしました。
対象は、AI=人工知能やスーパーコンピューターなどに使われ、大量破壊兵器の開発や、最新の軍事システムなどに転用が可能な先端半導体や製造装置です。
アメリカ政府は、半導体の材料に回路を焼き付ける「露光装置」などの製造装置で高いシェアを持つ日本やオランダに対しても協力を求めました。
これをうけて、
▽日本政府は、「露光装置」など23品目の輸出管理を厳しくする措置を7月から開始。
▽オランダ政府も、先端半導体の製造装置について、輸出規制の強化を9月から始めるとしています。
規制強化の背景にあるのが、ハイテク分野での米中の覇権争いです。
アメリカは、去年10月に発表した国家安全保障戦略で、中国を「国際秩序を変える意思と能力を兼ね備えた唯一の競合国」と位置づけ、軍事、経済、科学技術などの分野で総合的な抑止力を構築する方針を示しています。
このうち半導体については、去年8月、520億ドル以上、日本円で7兆円余りを投じて、アメリカ国内における半導体の生産や開発を補助金などで後押しする法律を成立させました。
中国が国家主導で、ばく大な予算を使い半導体の技術開発を進めていることに対抗するねらいで、ことし2月には補助金の申請受け付けを始めました。
補助金を受ける企業は、今後10年間、中国で新たな関連の投資を行わないことを条件とするなど、半導体をめぐって中国の製造能力を抑えこむ姿勢を鮮明にしています。
西村経産相 “需給の状況見ながら輸入先の多角化などを検討”
中国政府が半導体の材料などに使われる希少金属のガリウムとゲルマニウムの関連品目について、1日から輸出規制を実施していることについて、西村経済産業大臣は、即座に影響が出るものではないとした上で、需給の状況を見ながら輸入先の多角化などの対策を検討していく考えを示しました。
西村経済産業大臣は1日の閣議のあとの会見で「今後、中国の輸出管理措置の運用状況などを確認していきたい。主要産業の状況を踏まえると、即座に影響が出るものではないと考えている」と述べました。
その上で「中国は安全保障上の措置と説明しているが、仮に国際ルールに照らして不当な措置が講じられているということであれば、ルールに基づいて適切に対応していきたい」と述べるとともに、関連品目の需給状況を見ながら、輸入先の多角化やリサイクルなどの対策を検討していく考えを示しました。
また、松野官房長官は閣議のあとの記者会見で「輸出管理措置の運用状況なども確認し、仮にわが国に対し、WTO=世界貿易機関などの国際ルールに照らして不当な措置が講じられていれば、ルールに基づき適切に対応する。わが国のサプライチェーンに対し、即座に影響が出るものではないが、今後、影響が出てくる可能性のある分野もあるため、状況をしっかりと注視し、必要な対策を講じていく」と述べました。
‐(以上)
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(前記ニュース報道を閲覧の上、私は思った)
希少金属リサイクルの研究、開発が進んでいる事実を前提として、日米欧は中国側へ半導体、および其の製造装置の輸出規制を試みるのだろう。
もしそうでないと、経済安全保障への歳出は効果を発揮しない場合もある。
資産家、企業側の裁量、機転が自由である 「資本主義 国家」 の日本。競争は、利益だけでなく評価を生む。
しかし、忘れてはならないのは 「輸出規制の理由」 として、中国側の国際ルールに反する行動への否定が含まれているのだ。
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