2006/10/05(木)00:50
無農薬という神話(2)
有機JASだからと言って無農薬とは限らないと書きました。
これは事実です。
有機JASの規定では、「農薬や化学肥料は原則として使用しないこと」としている一方で「やむを得ない場合に限り、有機農産物の国際基準に準拠した30種類の農薬の使用は認め」られています。
では、このやむを得ない場合とは何かというと、「栽培農家がやむを得ないと判断した場合」なわけです。
要するに(規定上限定されてるとはいえ)、農薬を使うかどうかは有機認定農家の判断に委ねられてるわけです。
つまり、性善説にでも拠らない限り、有機JASだから無農薬で、絶対に安心、とはならないのです。
じゃあ、農薬がダメかというと、全然そんなことはない。
日本で農薬と認められるためには、ものすごい研究・実験・検証の過程を経る必要があり、そりゃあもう過酷な条件をパスしたものだけが農薬として流通してるんです。
無農薬原理主義者の方は
「虫に影響があるんだから、人体に影響がないはずがない!」
と仰います。
ですが、昆虫類と人間(ほ乳類)ではカラダの作りが根本的に違います。
例えば「虫が脱皮するのを防ぐ薬」は、ほ乳類には全然関係ない薬(だと考えて差し支えない)です。
ですから、現在日本で認められている農薬を使ってたとしても、はっきり言って人体への影響は限りなくゼロに近いです。
無農薬で野菜作ってる農家が言うんだから、間違いありません(笑)
こう書くと、
「そんじゃ、別に無農薬でがんばる必要ないじゃん!」と思われるでしょう。
ごもっともな話です。
でも、無農薬栽培にだって意義はきちんとあります。
いかに優れた農薬でも、生命(ここでは昆虫)の種族保存能力には適わない。
どんな農薬を創っても、その農薬の能力を超える、それでも生き残るカラダを、昆虫は自力で作り出すのです。
ですから、農薬がたとえ人体に無害であっても、栽培方法としては永遠の付け焼き刃に過ぎません。
SF的に妄想するなら、農薬のおかげで強くなった昆虫が、200年後には人類を絶滅させるかも知れません。
私は、農業は未来の子孫へ伝える遺産だと思ってますので、農薬を使わないという選択肢はアリだと思ってます。
有機だとか無農薬だとかは、安心安全と無関係ではありませんが、イコールでもありません。
有機だとか無農薬だとかは、先人が私たちに遺してくれた知恵であり、未来に遺したいココロだと思います。
変でしょうか?(笑)