源氏物語〔34帖 若菜 61〕
源氏物語〔34帖 若菜 61〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。朱雀院とも別れて独り暮らしになっている今の孤独な生活がいっそう彼の心を掻き立て、どうしても会いたくなるのであり、いけないことだと思いながらも友人への手紙の体裁をとっては忘れがたい熱情を伝え、それが幾度も重なったため、前尚侍ももう若い男女のように危うさを気にする年ではないと考えて時折返事をよこした。しかも年齢を重ねてなお美しさと完成の跡を見せる朧月夜の君の筆跡はますます源氏の心を魅了し、彼は昔から親しい中納言を介して二人が会える道を開こうとする手紙を送り続け、さらにその兄である前和泉守を呼んでは若き日のように胸を躍らせた。その光景を前に院は、年月というものは自分の心には長く感じられず、若々しい気持ちは昔のまま変わらぬのだが、こうして孫たちを見せてもらうと、急に年齢を意識させられて恥ずかしい気持ちになる。中納言にも子ができているはずだが、私を疎んでいるのかまだ見せに来ない。あなたが誰よりも早く私の年を数えて子の日の祝いをしてくれるのは、ありがたいが、少し恨めしくもある。