源氏物語〔35帖 柏木28〕
源氏物語〔35帖 柏木28〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔35帖 柏木〕 の研鑽」を公開してます。六条院では若君の五十日の祝いの日を迎えた。若君は肌が白く愛らしく育ち、すでに笑い声を立てるほどになっていた。源氏は女三の宮を訪れ、気分は良くなりましたか。回復されたとしても、喜びを分かち合うべき人はもういません。以前のあなたのままで、この子の成長を見られたならどれほど嬉しかったことでしょう。あなたは私を残して行ってしまいましたねと、亡き柏木への思いを重ねるように涙ぐんだ。柏木の死後、光源氏は以前にも増して女三の宮を気遣うようになり、ほとんど毎日のように訪れるようになっていた。皮肉にも、女三の宮が出家してしまった後になって、もっとも手厚い心遣いが注がれることになった。五十日の祝いには、母である女三の宮が尼の姿で列席することを心配する声もあった。出家した母の姿が若君の将来の祝福にふさわしくないのではないかと考える女房たちもいたのである。しかし源氏はその意見を退け、少しも差し支えない。もし若君が姫君なら母の運命を案じることもあろうがと語り、祝いを執り行わせた。