2019/10/14(月)12:17
「枕草子(まくらのそうし)」を研鑽-38
「自分の身の上を嘆いて人を羨ましがり」
「Dog photography and Essay」では、
愛犬ホープと歩いた道と「愛犬もも」との物語を公開してます。
酒を飲んでわめき、口中を手でいじくり、髭のある者はそれを撫でながら
盃をほかの人に押しつける様子は、ひどく憎らしく思えてならない。
きっと、もっと酒を飲めよと言ってるのだろう。
体を震わせて、頭を振り、口角を垂れ下げて、子供たちが
こう殿(国府殿)にまいりてなどを歌う時のような格好をする。
それはよりによって、本当に身分の高い人がなさったのを見たので
何とも気にくわないと思うのである。
何かと人のことを羨ましがり、自分の身の上を嘆いて他人の身の上を
あれこれ言い、ちょっとしたことでも知りたがり聞きたがり、話して
知らせないと恨んで悪口を言い、また、ほんの少し聞いた事を自分が元から
知っていたるように、別の人にも調子に乗って話すのも、ひどく憎らしい。
何か聞こうと思う時に泣く赤ん坊の声。烏が集まり飛びまわり騒がしく
鳴いている音。忍んで来る人を見知っていて吠える犬も憎らしい。
やむを得ず無理な場所に隠れさせて寝かせておいた男が
いびきをかいているのも憎らしい。