2020/02/26(水)15:47
「枕草子(まくらのそうし)」を研鑽-169
「赤ん坊が大人になるまで」
「Dog photography and Essay」では、
「愛犬もも」と清少納言のエッセイ枕草子の研鑽を公開してます。
なるほど歌が下手なうえに遅くなるようでは、まったくとりえがないので
どうともなれと思って、 空寒み 花にまがへて 散る雪に
空が寒いので花のように散る雪にと、わなわな震えながら書いて渡した。
どう思っているだろうと思えば思うほど、心細くなる。
これがどう受け取られたか聞きたいと思うのに、悪く言われるなら
聞きたくないと思われるのを、俊賢(としかた)の宰相などが、やはり
あれは帝に奏上して掌侍(ないしのじょう)にしたい女だと評価なさったと
左兵衛督(さえもんのかみ)が中将でいらっしゃった時に話してくださった。
先の遠いもの 。半臂(はんぴ)の緒をひねるとき。陸奥(みちのく)へ行く人が
逢坂の関を越える頃や、生まれた赤ん坊が大人になるまで、とても遠い。
半臂とは、天皇や高官が束帯のとき、袍の下に着た、袖のない短い衣。
緒とは、半臂の左腰につける忘れ緒は長さ一丈二尺(約3.6メートル)
幅二寸五分(約8センチ)、に折って糊で貼り合わせ、指先でひねるように
強く押しつけて作るのは、気の長い作業だという。