2020/03/09(月)21:13
「枕草子(まくらのそうし)」を研鑽-181
「日が暮れる頃に参詣するのは」
「Dog photography and Essay」では、
「愛犬もも」と清少納言のエッセイ枕草子の研鑽を公開してます。
お産の安否を心配をするのも忙しくない普段の時のことであるようだ。
正月などは、ただもうひどく騒々しくて、官位昇進を願う人たちが絶え間なく
参詣するのを眺めているので、じぶんのお勤めも身を入れてできない。
日が暮れる頃に参詣するのは、これから籠る人らしい。小坊主たちが
持って歩けそうもない鬼屏風の丈の高いのを、とても上手に運んで畳を
置いたかと思うと、その周りをどんどん仕切り、犬防ぎに簾をさらさらと
掛けて部屋を作っていくのは、とても手慣れていて、簡単そうである。
ざわざわと大勢が下りて来て、年配らしい人が、品のよい声であたりに
遠慮した感じで、帰る人たちがいるのだろうか、そのことが心配なのと
火の用心をしなさいなどと言っているのもいるようだ。
七、八歳ぐらいの男の子が、可愛らしい威張った声で、家来の男たちを
呼びつけて、何か言っているのも、とてもおもしろい。また三歳ぐらいの
幼児が、寝ぼけて咳をしているのも、とても可愛らしく、その子が、乳母の
名前やお母さまなどと言っているのも、母親は誰なのだろうと、知りたくなる。