2024/01/07(日)09:30
源氏物語の紫式部日記21 夜が更けるにつれ月が射しこんでいる
「〔21〕九月十八日」
「Dog photography and Essay」では、
「愛犬もも」と「源氏物語の紫式部日記」の研鑽を公開してます。
夜が更けるにつれて、月が曇りなく射しこんでいる所に、采女(お膳)、水司(もいとり 水・粥・氷室)、御髪上げ(理髪)の女房たち、殿司(とのもり 輿車〈よしゃ〉・御帳・火燭〈ひそく〉・薪炭)や掃司(かんもり 舗設・掃除・式場の設備)の女官などは、顔も知らない者もいる。
闈司(みかどづかさ 後宮の門鍵の管理・出納)などという者だろうか、粗末な装束をつけ雑な化粧をして、仰々しく挿した髪飾りも、儀式ばった感じで、寝殿の東の縁や渡り廊下の妻戸口まで、隙間もなく無理に入り込んで座っているので、人が通ることもできない。
お膳をさし上げるのが終わって、女房たちは御簾のそばに出て座った。灯火によって、きらきらと見渡される中でも、大式部(おおしきぶ)のおもとの裳や唐衣(からぎぬ)に、小塩山(おしおやま)の小松原の景色が刺繍してあるのは、とても趣がある。