2024/01/15(月)09:10
源氏物語の紫式部日記29 初孫におしっこをかけられ喜ぶ道長
「〔29〕初孫をいつくしむ道長―十月十日」
「Dog photography and Essay」では、
「愛犬もも」と「源氏物語の紫式部日記」の研鑽を公開してます。
すきとおった薄物の唐衣を通して、つやつやした打衣が見える。
そして思い思いの衣装に、一人ひとりの姿もはっきり見える。 こまのおもとという人が、宴席で恥をかいた夜である。白から色彩への転換。めずらしく、なまめいて、つやつやとという表現がとてもいい感じだ。
初孫をいつくしむ道長
十月十日過ぎまでも、中宮さまは産後の養生のため御帳台から出られない。女房たちは、その東母屋の西寄りにある御座(おまし)に、夜も昼もひかえている。殿が夜中にも明け方にもやって来られては、乳母のふところをさがして若宮をのぞかれるのだが、乳母がうちとけて寝ているときなどは、はっとして目をさますのも、ほんとうに気の毒に思われる。
若宮はなにもわからないころなのに、殿が抱き上げて可愛がられるのは、もっともで結構なことである。 ある時、若宮が殿におしっこをひっかけられたのを、殿は直衣の紐をといて脱がれ、御几帳のうしろで火にあぶってお乾かしている。若宮のおしっこに濡れるのもよいもので、この濡れたのを、あぶるのも、ほんとうに思い通りにいったような気持ちだと喜ばれる。
初孫におしっこをかけられて喜ぶ道長の人間性に共感する紫式部だった。