Dog photography and Essay

2024/04/27(土)10:10

源氏物語の紫式部日記96 命婦は道理をわきまえよく気がきくお人

平安時代の随筆 紫式部日記(129)

〔96〕幾重にも建ち並んだ殿舎の軒 「Dog photography and Essay」では、 「愛犬もも」と「源氏物語の紫式部日記」の研鑽を公開してます。 つぎの日の、夕方、早くも霞んでいる空を、幾重にも建ち並んだ殿舎の軒が隙間もないので、ただ渡り廊下の上の空をわずかに眺めながらだが、中務の乳母(中宮女房、源隆子)と、昨夜の殿が口ずさまれたこと(野辺に小松のなかりせば)をほめあう。この命婦は、ものの道理をわきまえた、よく気がきくお人です。敦良親王の乳母である中務の命婦にとっても、道長が「野辺に小松のなかりせば」と口ずさんだことは当然嬉しいことだった。 二の宮の御五十日―正月十五日 ほんのちょっと里に帰って、二の宮(敦良親王)の御五十日のお祝いは、正月十五日なので、その明け方に参上したが、小少将の君(源時通の娘)は、すっかり夜が明けた間が悪いほどのころに参上なさった。いつものように同じ部屋にいた。二人の部屋を一つに合わせて、一方が実家に帰っているときもそこに住んでいる。一緒にいる時は、几帳だけを仕切りにして暮らしている。殿はお笑いになる。 お互いに知らない男でも誘ったら、どうするつもりだなどと、聞きづらいことをおっしゃる。だが、ふたりとも、そんなによそよそしくはないから、安心である。日が高くなってから中宮さまの御前に参上する。あの小少将の君は、桜の綾織の袿に、赤色の唐衣を着て、いつもの摺裳をつけておられた。わたしは紅梅の重袿(かさねうちき)に萌黄(もえぎ)の表着、柳襲の唐衣で、裳の摺り模様なども現代風で派手で、とりかえたほうがよさそうなほど若々しい。帝付きの女房たち十七人が、中宮さまのところへ参上した。

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