Dog photography and Essay

2024/07/15(月)10:20

源氏物語〔4帖夕顔 5〕

紫式部と源氏物語(156)

源氏物語〔4帖夕顔 5〕 「Dog photography and Essay」では、 「愛犬もも」と「源氏物語4帖夕顔の研鑽」を公開してます。 源氏の牛車が進む道を、先行する人が馬上で持つ松明の明かりは弱く、暗闇をかすかに照らしているだけで、牛車の室内の光は外に漏れず、外から見える範囲が限られているが、源氏の車はその状況下でも前へ進んでいた。六条御息所が住む邸宅は広く、美しい庭があり、内部も気品があり、快適に暮らせるように整えられていた。六条御息所はまだ源氏の完全な所有物でなく、打ち解けぬ気高い女性を扱うことに心を奪われ、夕顔のことを思い出す余裕もなくなっていた。源氏は早朝に帰宅する事が多く、その姿は世間から称賛されるほどの美しさであった。ある朝、源氏は五条の門の前を通りかかった。 これまで通り道ではあったが、最近興味を持ち始め、その家には行き来するたびに目を留めるようになった。そんな時、惟光が現れ、病気のため手が離せないと言いつつ、源氏の近くに座った。惟光は、隣の家の事について、この家には最近、ある人物と同居しているようで、人物の正体は家の者にも秘密にしていた。時々、垣根越しに覗き、簾の隙間から若い女性たちの姿が見える。彼女たちは主人が不在の時にしか腰から下に衣を着けなく、昨日、夕日が家の中に差し込んでいる時、一人の女性が座って手紙を書いてた。六条御息所の隣の家に新たに住む若い女性の顔は美しく、物思いに沈んでいるように感じ、家の中には泣いている女性もいたようだと源氏に告げた。 源氏は笑顔でいたが、より詳細に情報を知りたいと惟光に告げた。源氏は、自分の身分を理由にしても、このように若く美しい女が恋愛に興味を持たない筈がない。隣の家の内情に興味を持ち、機会を見計らって隣の女性に手紙を送ったところ、すぐに書き慣れた上手な字で返事が来た。どうやら、とても良い若い女性がいるようだ。だが、その女の正体が分からないのは何か不安だと源氏は言う。源氏が隣の家の若い女に興味を抱き、社会的に低い身分に属する家の女であっても、意外な魅力や特質を持つ女性を見つけることがあれば喜ぶだろう。源氏は空蝉の冷淡さを思い浮かべ、もし、空蝉が言うままになる女だったら、悔む思いもなかったと、時折思い出していた。

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