2024/07/16(火)10:20
源氏物語〔4帖夕顔 6〕
源氏物語〔4帖夕顔 6〕
「Dog photography and Essay」では、
「愛犬もも」と「源氏物語4帖夕顔の研鑽」を公開してます。
源氏は、空蝉に対して強い態度を取り続けたことで、空蝉に負けたくないという反抗心を抱いた。そのため、源氏は空蝉を忘れることが少なく興味も失ってない。以前は空蝉のような高位の女性が源氏の心を引くことはなかったが、雨夜の出来事を経て、源氏の好奇心は広がるばかりだった。伊予介が上京し、源氏を訪ねたとき、源氏は伊予介を真面目な男と認識し、自分の心の暗い部分を反省するようになった。伊予介が娘を連れて結婚し、次に妻を同行させるという噂を聞いた源氏は、空蝉が遠くへ行くことに耐えられず、空蝉に近づくための策略を考えるが、機会を作るのは難しかった。
空蝉は源氏に完全に忘れ去られることを悲しんでおり、時折手紙で優しい心を示している。空蝉の簡単な文字には可憐な感情が混ざり、芸術的な文章も書いて源氏の心を惹きつける。だが、源氏は冷淡な感情を抱きながらも、空蝉を忘れられないと時折思い出す。もう一人の女は結婚しており、源氏は彼女の事についてはあまり気にしていない。しかし、この時期の源氏は初恋の苦悩の中であり、左大臣の家への訪問も減り、六条御息所との関係も以前のようには熱心ではなくなっていた。源氏は自分の態度によって女の名誉が傷つくことになってはならないと思うが、夢中になるほどその人の恋しかった心と今の心とは、かけ離れているものだった。
六条御息所は物事を深く考え込む性格で、源氏よりも八歳上。その年齢から不釣り合いな相手に恋をして、たびたび愛されない運命について悩むことが多かった。ある霧の濃い朝、源氏が帰る際には、御息所の女房の中将が几帳を引いて格子を少し上げ、貴女に見送らせるようにした。その時、六条御息所は頭を上げて外を見つめて、彼女は植え込みの花々に心を奪われ、立ち止まる源氏を眺めた。源氏は非常に美しく、廊下に向かう間に中将が供をした。中将は淡紫の薄物の裳をきれいに結んで、その腰つきは艶やかだった。源氏は振り返って曲がり角で中将を見つめ、彼女の優雅な態度や額髪(ぬかがみ)のかかり方も美しく、主従の礼を守る姿勢もすばらしかった。