源氏物語〔15帖 蓬生 13 完〕
源氏物語〔15帖 蓬生 13 完〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語15帖 蓬生(よもぎう) の研鑽」を公開してます。源氏の思いやりと力添えによって、末摘花の宮邸は次第に活気を取り戻していく。手入れが行き届き、庭の草木も美しく整えられ、流れには水が通るようになり、かつて荒れ果てていた景色は一変した。家司の中には、源氏の手厚い世話を見て、ぜひ仕えたいと申し出る者も現れ、執事も置かれるようになった。末摘花は二年ほどこの宮邸で暮らし、その後は東の院に迎えられた。ただし、源氏と夫婦として同じ部屋で過ごすことはめったになかった。それでも二条の院から近い場所だったため、源氏が他の用事で訪れた際には立ち寄り、言葉を交わすこともあった。その態度に軽蔑の色は微塵もなく、末摘花に対する配慮が感じられた。大弐の夫人が帰京した際には、末摘花の変わりように驚いたという。侍従もまた、末摘花の幸福を喜びつつ、自分が彼女を見捨てたことを深く後悔した。こうしたエピソードもさらに詳しく書きたいところだが、紫式部は頭痛がしてきたため、また別の機会に思い出して綴ることにしようとある。(完)明日より17帖 絵合(えあわせ) を公開予定。