源氏物語〔34帖 若菜 220〕
源氏物語〔34帖 若菜 220〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。院からの話を受け入れたのである。世間並み以上にすぐれた女性ではあったが、初めから心に深く染みついていた人に代わるほどの愛情は、衛門督の心には生じなかった。ただ人目に恥じぬ程度に、夫としての務めを果たしているに過ぎず、今もなお、以前の恋を引きずり、その人の消息を探る手立てとして使っている。女三の宮の小侍従という女は、宮の侍従の乳母の娘で、その乳母の姉が衛門督の乳母で、この女は少年時代から宮の噂を耳にして育った。美しさや、父帝の溺愛ぶりなどを繰り返し聞かされてきたことが、この恋の芽生えとなった。六条院が病の夫人とともに二条の院へ移って、さぞ暇であろうと考えて、衛門督は小侍従を自邸に呼び寄せた。例の話題について、熱心に語り合っていた。昔から、命にかかわるほどの恋をしてきた上に、都合のよい人を持っていて、宮様のご様子も聞き知ることができ、煩悶している思いも、少しも見るに足る効果がないのだから、残念でならない。しまいには、あなたが恨めしくなってきて法皇様でさえ、宮様が幾人もの妻の中の一人となった。