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碁法の谷の庵にて

2005年05月25日
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カテゴリ:法律いろいろ
何か問題ごとが起こる。すると、テレビ・新聞・週刊誌などに関連分野の専門家が呼ばれていろいろとコメントを行うというのは、よくある構図である。
法律の世界では、特に刑事法の分野が中心になることが多い。日々起こる凶悪犯罪が市民の少なからぬ関心を引いているからだ。従って、それで出てくる学者も刑事法学者や元検事の弁護士といった人々が中心になる。ちなみに、検事と裁判官は公務員だし迂闊なコメントをすると検察庁や裁判所自身の公正が疑われかねないので出てこない。

では、そこに出てくる学者や弁護士といった方々の言い分を鵜呑みにしてよいものだろうか?
彼らは、その法学的素養に関して言えば私など一蹴できるくらいの能力があることを踏まえて言うが、答えはノーである。
根拠は以下のとおり。


一、人選自体がある程度偏っている
一般にメディアに呼ばれる学者は刑事法なら「重罰路線」「必罰路線」のような考え方を持つ人が中心である。
しかし、刑事法学会で重罰路線は決して相応に根拠があるもので少数説ではないとはいえ、圧倒的通説としての地位を獲得しているとはいえない。はっきり言って、メディアが自分たちの考え方に都合のいい学者を連れてきてコメントさせていると考えた方が間違いがない。

二、言っている内容自体が曲がっている
私が大学で教わっていた刑法の教授の中に、新聞か何かの求めに応じてコメントを発したときの体験談を語ってくれた人がいた。新進気鋭の刑法学者(といってももう50くらい)であるが、最近はコメントしていない。
彼が証言したのは「言ったことと違うように書かれた」ということである。考えてみれば、法律用語は決して平易ではないし、しかも多くは電話取材であるらしいので、素人のメディア関係者が十分に理解できるはずがない。多少の余地があるという意味で残す「含み」などもすっ飛ばされてしまうし、まして細かいニュアンスなど伝わりようがない。
メディア関係者に悪意があろうがなかろうが、本当に学者が言ったことと実際の報道内容には齟齬があると見たほうがよい。テレビの映像だから大丈夫と思ってもいけない。編集次第によってはどうとでもなる。

三、学者の口は軽い
一と共通するが、ああいうところに出てくる学者の口は相当軽い。
普通特定事件に関してコメントをすることは名誉毀損になる恐れもあるし、また外部の学者が手に入れられる資料もたかが知れているのでどんな大学者でも正確は期せないはずなのだが彼らはなぜかべらべらとしゃべってしまう。
実際テレビより密室で影響力などゼロに等しいゼミなどでも「真相は分からないけど…」などという発言が出てくるのはごく通常。


結論としては、ああいうところに出てくる学者の言い分を鵜呑みにするのは慎んだ方がよい。また、学者や弁護士以外の「評論家」と称するコメンテーターに関しても同様である。
あのようなコメンテーターを当てにして作った意見というのはきちんと評価されない。ちゃんとした意見を作りたいと思うなら独学するか、勉強代だと思って30分5000円払って弁護士に法律相談を聞くか、手っ取り早く知り合いの学部出身者その他に聞いてみることを勧めたい。






最終更新日  2005年05月25日 23時20分44秒
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