3410162 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

碁法の谷の庵にて

碁法の谷の庵にて

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2005年07月03日
XML
テーマ:囲碁全般(745)
カテゴリ:囲碁~碁界一般編
近年日本棋士の世界戦での成績は目を覆いたくなるようなものが少なくなく、毎年ベスト4を出してきた富士通杯も今年は韓国に制圧されると言う結末。
ネット碁で、アマ強豪に互先で連敗し、コミなしの黒でまで撃破されたプロ八段(!)も見たことがある。いくらお好みのネット碁とはいえひどいだろう。
また、棋院の財政難もかなりのものである。競争原理を働かせていたなら日本棋院は潰れていたかもしれない。

そんな中から出てきたのが、あまりにも勝てないプロ棋士については身分保障を外し、場合によってはクビにすべきではないかと言う意見である。そうすれば、プロも必死になって技を磨くだろうし、棋院の財政も立て直されて一石二鳥…という言い分である。


この意見自体は非常に立派なものである。ただ、この意見に批判的な見解が全く見当たらないのが少々気になるので、あまのじゃくの私は少し批判的な意見を書いてみたくなった。


本当にプロの足きりが碁界発展の役に立つのか、と言う疑念の最大の根拠は、こんな話にある。
(役立つか立たないかではなく財政上の問題で「やむを得ず」導入される可能性はあると思う)

「中国の李吉吉三段(吉吉で1文字)は、三星火災杯でベスト8に入った神童であるが、家に帰ると週一で学問をやっている。プロでやっていけなくなったときに備えて勉強をしているためである。こんな気の持ち方をした中国プロ棋士がどうして必死な韓国に勝てるのだ」

中国にはプロ5段になるまではアマとして復帰できる制度がある。つまり、中国棋士はプロ棋士が碁でうまく行かなくなっても逃げ道を作っておくことがある、と言うわけである。
29の若さで夭折した劉鈞アマ七段など、世界アマで坂井を破って優勝し、中国唯一のプロアマ混合戦の新人王戦で優勝してしまったりする。他にも、日本で活躍している人もいる。最近は韓国アマの活躍も目立つが、日本で活躍する中国の元プロは意外と多い。私の知る学生の強豪たちも関東の有名な碁会所で彼らにもまれているし、時には勝ったりもするそうだ。


話を戻すと、もし現段階で日本に足きり制を導入したらどうなるか。棋士たちは韓国のように必死になるか。私は、多分中国のように、少なからぬ棋士たちは足きりに備えて資格試験などに手を出すような気がするし、さらに親たちが子供をプロ棋士にしなくなるのではないかとも思う。

韓国の棋士はスーパースターである。バラエティ番組に芸能人として呼ばれる。スポーツ飲料のポスターに正直美男子とは感じられない朴永訓九段が使われるほどの大人気で、収入も抜群である。それなら危険でもやってみるかと言う気にもなるかもしれない。
だが日本の棋士は収入は1億に行くのが数年に1人、1000万が年20人前後。指導出版でがんばっている棋士もいるが、多くは下積みでリーグや本戦に入れないし、トップで1億では大した収入ではない。プロ野球やサッカーとは大違いである。

もちろん、碁の好きな本人はそれでもプロをやりたいと言い出すかもしれない。
だが、ここで親と言う最大の障壁が立ちはだかる。
親としては、トップでも収入は大きくない、身分保障を受けられる世界にいける保障もない、そんな世界に子供を行かせられるだろうか。どうしても行きたければ高校・大学にいけ、資格を取れとなるのは理の当然である。
これをクリアするには小学生でプロになり中学生、それも高校受験を気にしなければならない頃までに一流になるか、大学生くらいになってからプロになるかだが、前者は日本の現状にそぐわないし、後者では世界的一流棋士となるのは至難の業である。
また、プロ棋士になれば手合や指導当番の日を除けば時間はかなりある。一時的に上位にいる棋士が、将来自分が弱くなった場合などに備え時間を資格試験に使ってしまう者が出たとしても、文句は言えなくなるように思う。


足きり制度を導入することが、現役プロは愚か、将来プロになる子どもたちについても小さからぬ負担を与える可能性については、足きり導入論の人はどう考えているのであろうか?
精神論で返すのは簡単かもしれないが、他人の人生に精神論だけで干渉するのは正直いかがなものか。まして、親が子の将来を不安がるのは極めて自然。精神論でどうにかなるものではない。
せめて足を切られたプロ棋士についても、一定の仕事を保障する環境を整える(例:レッスンプロとトーナメントプロの分化)などしてから、足きり制度を論じるべきに思う。

ぜひこの辺について足きり説賛成の方々からご意見承りたいものである。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2005年07月03日 23時41分02秒
コメント(0) | コメントを書く
[囲碁~碁界一般編] カテゴリの最新記事


PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

カテゴリ


© Rakuten Group, Inc.