恥ずかしながらこの本の存在を最近まで知りませんでしたが、ようやく目を通すことができました。
Sir Albert Howard 『An Agricultural Testamennt』
アルバート・ハワード著 保田茂 監訳 『農業聖典』
書店や近くの図書館にも見当たらず、市立図書館での購入のリクエストを出しておきました。すると、約1週間後にその本が入ったことを知らせるメールが届きました。意外と早いなあと思ったら、岡山県立図書館の蔵書でした。こんなこともできるのかと感心しつつ、感謝して大事に読ませていただいています。表紙の絵が絵本作家の田島征三さんなのがいいですね。
某サイトのレヴューではあまり興味をそそられなかったのですが、この本が広く読まれるのは、ハワード氏が実際に農業を行った研究者だということがあるようです。それと、19世紀頃の日本の農業技術について多くふれられていることもあるのでしょう。現在、有機農業についての情報は氾濫しており、これといって目新しい記述はあまりありませんでした。ただ、今の有機農業で言われていることが、ここからの引用が多いのかもしれません。ひとつ、わたしが気になった事例がありましたので、以下、引用させていただきます。
1923年7月に、地中に穴を掘って生活するアナホリネズミが、一部のライムとビワの果樹の下に棲みつく。どちらの穴も、南側に掘られていた。しばらくすると、ネズミの掘った穴の真上の葉が他の葉よりも非常に濃い色になる。穴のすぐ周辺の土壌を調べたところ、新しい活性細根が標準区の表層土の活性細根よりも大幅に発達していることが観察された。
穴を掘ったことによる土壌の通気の増加は、草生区においても、活性根の発達に驚くべき刺激的影響を与えたのである。葉はまるで窒素肥料を施されたかのように見えた。同じような観察結果がプラムの場合にも見られた。このプラムの木は枯れつつあったが、アナホリネズミの掘った穴によって新たな生長が促されたのである。