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2019/07/21
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 基軸通貨とされているドルの発行権をもつアメリカは、欠くべからざるエネルギーとなった地下資源の決済権を賦与されて、石油の需要が高まれば高まるほど、ドルを供給しなければならないという圧力を、世界中から強く受けなければならなくなった。ドルの供給を米政府が怠ればドルの通貨価値は競り上がって上昇し、為替相場の影響をモロに蒙る立場となった。エネルギー資源の需要増加はドル高要因となり,ドルの供給を拒めば国際経済は成立しなくなる。このため基軸通貨としてのドルの発行権を、アメリカは常に最大化しなければならなくなる、という必要性にいつも迫られる立場となった。ドルの需要水準が高まれば高まるほど、通貨の発酵益は増え続けることとなり、それがアメリカの財政に他国と比べ高い優越性を与えている。

このためアメリカはドルの需要がある限り、その供給を拒むことができなくなった。供給量の制御は可能であったことから、それがドルに強いドルと弱いドルの二面性を与えている。さして魅力のないローカル通貨に対しては、ドルの流通インターフェースとなっている国際金融資本が、ドルの流通量を間接的に調整する機能を担っている。70年代に浮上した南北問題(先進諸国とアフリカ大陸に於ける貧富の差の拡大)を生み出したその発端はここにあったのである。

 

 ドルの属性となった過剰流動性は、地下資源の決済を円滑に行う目的で、産油国と石油消費国との取引に於いて、ドルを介在させることによって滞りなく進めることができるようになったのであり、その副産物として国際経済の反応場に、ドル余り現象と呼ばれる強い影響力を与えることともなったのだった。2008年のリーマン・ショックと呼ばれた金融危機は、その過剰流動性が原因となった負の事例の代表的なものとなっている。アメリカはローカル通貨としてのドルと、基軸通貨としてのドルという二重性を常にもつ、ドルの発行権を支配することで、富の集積地としての恩恵を発酵益として堪能し、何の疑いも持たせなかったばかりか、少しの犠牲も払わずに確保しておくことが問題なくできている。アメリカが国際経済の枢軸的存在になれたというのは、連合国によって創設されたブレトンウッズ体制の賜物だったのである。

 

 中国が農業国の立場から身を起こして、世界第二位の経済大国に僅か三年で上り詰めたというのも、人民元の追加発行を重ねてきたその結果として得た身分。親中国的な立場にあった民主党政権時代に、中国を世界の生産基地にするとアメリカが宣言し、世界中にドル余り現象を引き起こしていた過剰流動性を、中国大陸へ向かうよう方向づけた。世界中からドルによる資本の移動が発生し、そのすべてが中国を目指して押し寄せたことから、人民元の通貨価値を執拗に高める動因となったのだった。共産党政府は対抗策として人民元の供給量を急遽増やし、獲得したドルを担保とする人民元の追加発行を重ねていた。ドルの中國への流入量が増えれば増えるほど、人民元の通貨発行量は連動して必要以上に高まった。

 

為替市場に於ける人民元の通貨価値とドルのそれとは相拮抗する状態となっていき、ドル安にして相対化することで、人民元の交換レートを日本経済を円高にして苦しめた先行事例を参考にして、予てから引き上げておきたい意向をもっていたアメリカは、その結果人民元の過剰発行を容認せざるを得なくなり、結果として中国にドル建ての資産を大量に積み上げさせる、という意図しない経過と結果とを図らずも投与した。中国がたったの三年で突出した成金国家になれたというのは、ドルの過剰流動性のお蔭だったということなのである。だがそれは中国共産党政府に軍事的優越性をも与えることとなり、農業国であったが故に放置されていた海軍力を増強する、絶好の機会を提供することともなったのである。米中間の貿易戦争の背後には、この時生じたミリタリーバランスの調整圧力が働いていた。

 

アメリカと中国とが経済大国となったその背景には、MMTが指摘する通貨発行権の行使、が与って力となった経緯があった。MMTは通貨発行権(シニョレッジ)をもつ国家は、制限なく当該ローカル通貨を発行することができるとした。通貨価値は国内市場に於いて、恒常的に安定したレベルを保つからである。通貨発行権は印刷コストを負担するだけのことで、券面記載の通貨価値を国家が享受することを可能にするだけでなく、通貨価値を補償して常に価値の同一性を保たせる力がある。

 

この通貨発行権を政府が活用することにより、利息を前提とする国債の発行に頼る必要はたちまち消え、印刷コストと実態コストとの差額を、国家収入として享受することが政府にとって可能となる。シニョレッジが国家に与えられているものである以上、支払利息を負担する前提の国債の発行に頼らずとも、経済効果の拡大を推し進めることは容易にできる。赤字国債の極端な累増という日本の財政赤字の山の高さは、米中両国が期せずして行った通貨政策に於いて、正反対のプロセスを辿ったが故に生み出されたその好結果。アベノミクスの失敗がMMTの正当性を、雄弁に物語っていることは自明の事実。


あたらしいプラットフォームとなりつつあるMMTを、デフレ経済を俎上に乗せている陳腐化した行為の意味に、正統派経済学者たちは今以て気付かずにいる、蒼古たる教科書的な経済学を真に受けてきた、知識だけは豊富だが思考力の裏付けのない、劣った認識に基づいた旧弊で衒学的なエコノミスト一同が、訳も分からずに徒にただ保守化して騒ぎたてているようにしか見えない。問題認識能力に課題を残したままの子損の知識階級が、アベノミクスに根拠なく賛同して経済を低迷させ、消費増税を善と信じて日本経済に止めを刺そうと、今まさに身構えている最中に驚天動地の理論が登場したのだか、異端視して排撃する姿勢をとったの考えられないことではなかろう。このMMTという新しいプラットフォームを陳腐化した古いプラットフォーム上で、訳も分からずに混乱した頭のままで、無理やり解釈しようと努めているエコノミストの何と多いことか。アメリカのドルと中国の人民元とは、通貨発行権を活用したことで経済大国となったその好例に、彼らは謙虚になって学ぶ必要があるだろう。







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最終更新日  2021/01/31 07:06:01 AM
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