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飯島多紀哉の七転び八転がり

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2007/08/12
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カテゴリ:その他
(前回の日記の続き)

 今回、『アパシー 学校であった怖い話 ヴィジュアル・ノベル・バージョン』を発売するに当たって、皆さんから多くの反響をいただいた。その多くは、昔からのファンによるものであったが、実は別の観点から今作品の発売を期待して見守る方々がいた。
 それは、同人ソフトに関わる関係者の方々だった。

 さて、皆さんは同人ソフトという言葉を聞いて何を思い浮かべるであろうか? 著作権侵害、怪しいもの、オタク、腐女子、違法ソフト、エロゲー、十八禁、などなど……。一般人から見ると、これらの単語はあまりいい印象ではない。しかし一般人はそれらの単語を思い浮かべ、同人という言葉にあからさまに眉をしかめるのだ。
 しかし、現実はどうだろう? 果たして、同人とはそんなに怪しいものなのだろうか。今回、同人ソフトに限らせて話をさせてもらうが、確かにその多くはエロゲー主体の十八禁ソフトである。そして、二次的著作権を侵害しているものも多い。だが、オリジナルの一般作品も中にはあり、それらの中にはしっかりと市民権を得ている作品もある。
 純粋にゲームを愛するユーザーが、支持することで成長した同人ソフトもあるのだ。それは、東方プロジェクトの一連の作品群やひぐらしのなく頃にという商業ソフト顔負けの人気を集めている作品を見ればわかる。
 事実、東方プロジェクトの作品は、コンシューマー・ゲーム業界ではまったく売れ行きが伸びず新作が皆無ともいえるシューティングというジャンルにおいて一大勢力を誇っているし、ひぐらしのなく頃には小説、漫画、アニメと様々なジャンルに発展し、その知名度を一気に広げた。

 このように同人の世界から生まれて大ヒットを飛ばしたオリジナル作品はあるにはあるのだが、いかんせんヒット・タイトルが少なすぎる。所詮は、たまたま売れた作品であり、このような作品が世に発表されることは数年に一つあるかないかという見方しかされていない。いわば、奇跡として扱われてしまうのだ。
 売ることを目的に作れらた作品ではなく、趣味の延長線で作られた作品という見方が、同人ソフトに対する一般人の意識だ。そしてなかなか、その域から脱却してくれないのだ。
 ヒット作が生まれることは喜ばしいが、そのほとんどはそれ一作のヒットで終わる。後が続かなければ意味がない。同人ソフトそのものが市民権を得るためには一タイトルではなく、2タイトル、3タイトルと相次ぐ注目作が生まれなければ、とても牽引できないのだ。

 世の中にパソコン・ゲームが出てきたとき、それはまさしく今の同人ソフトの世界と似ていたように思う。自分がゲーム業界に飛び込んだとき、初めはパソコン・ゲームを制作した。その当時、誰もが自分の作りたいものを好きに作り、発表できた。ユーザーが認めた作品だけが生き残り、売れないものは自然淘汰されていった。そしてそれは、初期のコンシューマー・ゲーム業界にも受け継がれていった。そんな、クリエイターが描きたい作品を発表できる場が、二十年ほど前は当たり前のようにあったのだ。
 時代が経ったからといって、新しいクリエイターがいなくなったわけはない。おそらく今、同人ソフトの作り手の中にはダイヤの原石ともいえる強烈な逸材がゴロゴロ眠っているように思えてならないのだ。

 漫画は、プロを目指すものたちを対象に自分の作品をぶつけることが出来る新人漫画賞を初めとした数多くのコンテストが出版社ごとに用意されている。映画は、自主制作映画があり、そのコンテストは世界中に存在する。音楽もインディーズの人気は十分な市民権を得ているし、プロのスカウトが常に目を光らせている。もちろん、インディーズのコンテストも有名だ。
 では、ゲームはどうなのか? 漫画や映画や音楽のように、アマチュアが自分の思いをぶつけ、それを評価してもらう場が用意されているのだろうか。過去いくつかあったのは事実だが、長く続くことなく消えていった。
 メーカーが自社スタッフや下請け会社に、あらかじめ用意された企画書に基づいてゲームを作らせる環境の中で、果たして新しい作風を兼ね備えた作品は生まれるのだろうか? 天才は一人いれば良い。企画会議だからといって、何人もが頭を突き合せて天才のアイディアを削っていくような現場は必要ないのだ。若いクリエイターの力をもっと信用し、彼らが作りたいと思うものを自由に作らせる環境こそ、今のゲーム業界には必要ではないだろうか。

 今、いきなりアマチュアを対象にゲームコンテストを開いても、それは無謀かもしれない。なぜなら、まず一般人が持つ同人ソフトに対する曇ったフィルターを取り除き、イメージを変えさせなければならない。

『アパシー 学校であった怖い話 ヴィジュアル・ノベル・バージョン』は、このブログで制作を発表してから発売までわずか一ヵ月半しかなかった。それ以外、何も宣伝しなかった。私はブログで制作を伝えただけだった。しかし、あっという間に多くの方々がそれぞれのサイトやブログでこの件を好意的に紹介してくれ、それがまさにネズミ講式に増えていった。これは、学怖のファンだけではなく、私が今回の作品を作るということを、同人ソフトを愛する方々が温かく迎えてくれたことがとても大きい。
 そしてネットにより一気に広まったこのソフトは、発売前から追加注文が相次ぎ、公式サイトと販売店の通販だけでも、千本をはるかに越える予約が二週間で集まったのである。当初予定していた千本という生産本数はあっという間に一万本を超えるまでに到った。
 制作発表からわずか一ヶ月半足らず、一銭も宣伝費をかけずにブログで紹介しただけでこれだけの受注が集まった現実がここにある。

 同人ソフト界は、夏コミ前に突然現れたダークホースがどのような走り方を見せてくれるのか、注目している。そして、多くの方々がその成り行きを期待を込めて見守ってくれている。少なからず商業ゲームで活躍しコアなファンを持つ私が、同人ソフトを手がけることにより、今まで同人ソフトに興味を持たなかったユーザーが目を向けてくれればという期待もあるようだ。

 コンシューマー・ゲームの世界では似たようなソフトが乱立したり、話題作が集中することを喜ぶものは、制作側の人間にはまずいない。自社製品の売り上げが落ちることを心配し、敵に塩を送ることは考えられないのだ。もっとも、弱者が強者に寄りかかる形でお零れをもらう場合は例外だが。
 しかし、同人ソフトの世界はかなり違った。互いが互いを助け合い、自分の作品の売り上げが落ちることを気にするよりも、見ず知らずの他人の作品を紹介する。それを弱者同士の傷の舐めあいといってしまえばそれまでだが、より世界を広げるためには力を合わせるという共同体の基本精神を彼らは身に付けている。
 だから、同人ゲームを制作するクリエイターの多くが、この『アパシー 学校であった怖い話 ヴィジュアル・ノベル・バージョン』の発表を快く受け入れ、歓迎してくれたことに私自身が驚いた。
 ならば、私はその期待に全力でもって応えなければならないだろう。

 そこで私は、アマチュアのゲーム制作を全力で支援させていただくことにした。もちろん、コンテストを開くとか開発費を提供するという体力はまだないが、まずは同人ソフトのイメージアップに努めたい。
 そのためには、自分も常に第一線で現場に身を置かなければならない。そして、商業用ソフトの制作を今後も続けていくと同時に、同人ソフトでも完全新作を発表していかねばならない。商業と同人の橋渡しに一役買うには、このスタンスは崩せない。
 というわけで、『アパシー 学校であった怖い話 ヴィジュアル・ノベル・バージョン』に続く同人ソフトの次回作のタイトルは夏コミ会場で発表する。次回作は読み進めるだけのソフトではなく、完全な新作ゲームである。

 次に、今まで自分が培ってきた技術は、今後どんどん公開していきたい。別に惜しむことはない。私が手に入れたものは、人が盗まずとも勝手に垂れ流す。特にゲームのシナリオを書く上での技術や手法は、実際に執筆したシナリオを公開するとともに、どのように分岐を構築していくか紹介していきたいと思う。もちろん、私の考えや、その手法が正解というわけではない。私が実際に行っているシナリオの作り方を知った上で、皆さんが自分なりに活かしてくれればそれでよい。
 さすがに過去の作品を発表すると守秘義務の契約に引っかかるので、今後同人で発表していくシナリオに限られてしまう。そのため、実際のシナリオ公開はもう少し先の話になってしまうが、執筆スタイルは変わらないので問題はないだろう。

 それから、全年齢対象のオリジナル・ゲーム(ソフト)を制作しているサークルや個人のサイトを、七転び八転がりのサイトからリンクを貼らせていただきたい。相互リンクではなく、こちらからの一方的なリンクでもかまわない。七転び八転がりのメール・フォームから連絡してくれ。対応させていただく。ただし、作品のレビューなどは一切しない。私が評価を書くことで他人に色眼鏡で見てもらいたくないし、その判断はユーザーに任せたいのだ。
 本当は、エロゲーでなければ十八禁ソフトでも紹介したいのだが、今回はあくまで一般社会が持つ同人ソフトのイメージを払拭することが目的なので、申し訳ないが今の段階では全年齢対象の作品に限らせていただきたい。また、同じ理由により、二次的著作物を扱った同人ソフトも今回は見送らせていただきたい。
 加えて、同人ソフトを作る上で困っていることや悩んでいることがあれば、遠慮なく相談してほしい。別に金などいらん。面白いゲームが一本でも多く制作されるのであれば、それでいい。多忙期には返答が遅れることもあるが、わかることであれば出来るだけ答えていきたい。自分で協力できることは、いくらでも協力させていただく。ただ、プログラムの質問は勘弁な。

 今回、ネットの威力を本当に思い知った。そして、ゲームを愛する人々の力添えも心に染み入った。まだ『アパシー 学校であった怖い話 ヴィジュアル・ノベル・バージョン』が本当に売れるかどうかはわからないが、これだけ注文が集まった現状を見るだけで、もう十分ありがたい。
 だから今度は、こちらが恩返しをさせていただく番だ。皆さんへの恩返しは、自分も新作を作ると同時に、若いクリエイターたちがその力を発揮できるように手助けすることで応えていきたい。それが、一本でも多くの面白いゲームを遊びたいユーザーたちに喜んでもらえることだと感じたから。
 まだまだ力量不足のため何年かかるかはわからないが、ゲームを愛するユーザーたちへ、自分なりの答えを出してみる。






Last updated  2007/08/12 10:15:51 PM


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