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2020.01.18
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カテゴリ:飯島多紀哉
『アパシー 学校であった怖い話 極』のレビュー

発売してから一年近く経つゲームのことを今さら語るのもなんだが、先日とある方のレビューを見て甚く感銘を受けたのでブログを書くことにした。
もともと『極』は『四八』で出来なかったことをやろうとした作品だが、このレビューで書かれている通り、僕が望んだ世界観は七不思議の集会を森に隠すということだ。
七不思議の集会で始まり七不思議の集会で終わる、七不思議の集会にしか特化していないあの世界観は『学校であった怖い話』の基本形でありその真骨頂でもある。
そのため『アパシー 学校であった怖い話 特別編』は原点となるSFC版『学校であった怖い話』で創られた世界観に、新たな七不思議を大量にぶち込むことで成り立つ一種のリメイク作品になっている。
だからこそ新鮮さはないものの、コンシューマーではできないグロテスクや残虐なシーンが増えているし、安心感はある。

だが僕が新しくやりたかったことは、七不思議の集会から一歩離れて『学校であった怖い話』を描くことだった。
描かれるシナリオはともかく、『四八』で描けなかったシステムは、『極』で本質を描くことができた。
おそらく、僕が今後『学校であった怖い話』の世界を描くとしたらこれが基盤になると思う。
如何に七不思議の集会から離れて、『学校であった怖い話』らしさを出していくか、だ。

そういう点において、『極』は個人的にとても満足のいく完成度だったと思う。
開発期間はわずか三か月程度。
ベースとなる約20万文字のシナリオがあったと言っても、そこから新たに数十万文字のシナリオを書くということはかなりの労力を要した。
しかし、もともと『学校であった怖い話』も半年間程度で仕上げた作品だったし、制作するスタッフがうまく効率的に仕事をしてくれれば仕上げられる仕事なのだ。
逆に、『四八』は数年かかっても一向に仕上がらなかったわけだが。
船頭の多い船は何とやら、というわけだ。

三か月しか開発期間が取れないということを前提にして、立ち絵はすべてシルエットにしたわけだし、排除するべきところは悩まず切り捨てていった。
だから、本来描きたかったいくつかのシナリオは挿入されなかった。
その最たるシナリオが『アパシー 学校であった怖い話 新生2』で納められている『赤い靴下』と『藤丸地獄変』だ。

どちらも、七不思議の集会が始まる前を描いたシナリオだ。
特に『藤丸地獄変』は『人肉食堂』からさらに派生するサブシナリオだ。
これこそが『四八』の神髄として描かれるはずだったのだが、主導権がないとなかなか意見も通らないし難しい。
SFC版『学校であった怖い話』や『アパシー 学校であった怖い話 極』が短期間で完成させられるのは、スタッフがどううまく動いてくれるかを把握し、また彼らがその力を発揮してくれるからだ。
実はこの『アパシー 学校であった怖い話 極』は、価格が高いということでかなりの批判も浴びたのだが、新生ナナコロにおいて一番稼いでくれたのはこの作品だ。

そして、今なお一番プレイヤーが求めてくれているのは、この『アパシー 学校であった怖い話 極』なのである。
即売会などでは「極って面白いの?」と質問してもらったり、「これください」と最初から『極』一転狙いで来てくれたりする。

それがとても嬉しい。
少なからず、口コミで広がっていることに手応えを感じる瞬間だ。
SFC版『学校であった怖い話』を好きなユーザーが、最近得られなかった面白さを探すとしたら、ここを漁るとあるかもしれない。

世の中には、最近は無料で遊べるものが多い中、ホラーノベルゲームというのはなかなか発表されなくなった。
しかも、数十時間はゆうに遊べる分岐ゲームというのは皆無に等しい。
だからこそ、ナナコロが作る世界の灯を消さずに頑張りたいと思う。


SFC版『学校であった怖い話』と『アパシー 学校であった怖い話 極』のもっとも大きな相違点はシナリオだと思っている。
SFC版はとにかくシナリオの分量を増やすために当時の事務の方にもシナリオを執筆してもらった。
そして僕はそれにチェックを入れず発売した。
根幹シナリオはすべて僕が執筆しているが、おそらく僕がチェックすると大幅な修正が起きてしまうため、あえて無視した。
本当にこんなシナリオを載せていいのか?という疑問もスタッフ内で上がったが、あえていじらなかった。
だから逆さ女やポヘは、僕が書いた根幹ルートには登場しない。
事務の子や当時初めてシナリオを書いたスタッフによる賜物だ。
『学校であった怖い話』のシナリオは「玉石金剛」とよく言われるが、まさに僕はその通りだと思っている。
それは子供のオモチャ箱であり、宝物とガラクタが一緒くたにまとめられているからこその魔法の箱なのだ。

『アパシー 学校であった怖い話 極』は、初めてシナリオを執筆した人間も参加しているが、『アパシー 学校であった怖い話 特別編』で読者から募集したシナリオ時にずば抜けた文才を見せてくれた井上阿希(現:海原望)さんの再参加が大きく光っている。
さらに、加わってくれた新規のシナリオライターの作品には、出来る限りの修正を加えてテコ入れした。
物によっては、ほぼ全直し、さらには全カットまでしたものもある。
そうすることで石を除き、宝石を選ぶことを行った。
さらに石も磨きに磨いた。
実際はSFC版で使われたシナリオにもかなりの手を加えて修正を施している。
それはSFC版と『極』を遊び比べてくれたらわかると思う。
だから、言い切ってしまうがシナリオの完成度は他作品と比べても群を抜いていると思う。
もっとも、好き嫌いは別の話だが。
感覚的な問題もあるだろうが、レベルの底上げはかなり行われているはずだ。


さらに今回の『新生2』では僕以外に怪異伝播放送局のシナリオを執筆しているプロの怪談作家である​原田友貴​さんや同じくプロのシナリオ作家さん​春井環二​さんにご協力いただいている。
どちらも、大変実力のある作家さんだ。
逆に『学校であった怖い話』の世界観を知らなかったため、慣れるまではニュアンスの異なるキャラクター性も垣間見られるが、それは本来のSFC版自体が全編にわたり統一性が見られていないのだから原点回帰に近いのかもしれない。

次回の新作ゲームはタイトル未定だが新たに三本のシナリオを同梱した作品になると思う。
本当はここで『都市伝説 黒バラの城』を描こうとしたのだがあまりの規模の大きさに三か月で制作するのは困難になった。
他に三本の作品を同時に進めなければならなくなってしまい、かなりスケジュールは大変なのだ。
というわけで次回の作品は僕が新たに一本新作タイトルを書き下ろすのだが、残りの二本も自信作を出すつもりだ。

次回の新作では今回大変心強いサポートをしてくれた原田友貴さんや春井環二さんはお休み(ちょっと別にお願いしたいことがあるので)していただき、新たに三名の怪談作家さんが協力してくれる予定だ。
どの方も怪談本を執筆されていたり、ラジオドラマやアプリゲームのシナリオで活躍されている実力派だ。
そして僕が最も信頼しているシナリオライター井上阿希(現:海原望)さんの本格参戦も決定している。
僕が現在やろうと思っていたシステムは『極』『新生2』『次回の新作ゲーム』を持って、一つの終点を迎えると思う。
『極』を己の中での最高傑作で終わらせず、さらに進化を見せていくナナコロのノベルゲーム、ぜひ楽しんでいただければ幸いである。

最後に今回の『アパシー 学校であった怖い話 極』のレビューを書いてくれた方に心から感謝の意を表したい。
ありがとう。






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最終更新日  2020.01.18 18:41:34



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