RENS1823dという真空管
RENS1823dという真空管を紹介します。オークションを通じて著名なコレクターから譲っていただきました。入札の半数が大御所コレクターだった印象で、誰に渡っても海外流出は免れたかもしれません。海外の富裕層コレクターは、いわゆる銘球以外は興味が無いのかもしれません。謎球ばかりを嬉々として収集している人はごく一部です。ピン配置はB5ベースの三極傍熱管の配置と同様で、スクリーングリッドがサイドに出ています。美しい電極構造です。ヒーターは20Vの0.18A。セラミックのスリーブを介してカソードを暖めます。それゆえスロースタートです。プレート損失は規格は250V24mAらしいので6W程度でしょうか。トップの印字。Ipカーブなどのデータシートは見当たりません。せいぜい真空管(Electron tube) 規格表データベース「RENS1823d」くらいです。RENS1374d(4V管)に対して20V管という立ち位置のようです。三極管接続時はRE304に非常によく似た特性となるそうです。etracerで特性を測定しましょう。三極管接続ではヒーター20Vと2V下げた18Vで測定します。【1本目】三極管接続 Eh=20V, Ih=0.17AEp=240VEg1=-31.3VIp+Ig2=18.10mAIg2=4.21mArp=3269Ωgm=1588μSμ=5.2V/V三極管接続 Eh=20V, Ih=0.15AEp=240VEg1-30.4VIp+Ig2=18.09mAIg2=4.24mArp=3392Ωgm=1526μSμ=5.2V/V五極菅接続 Eh=20V, Ih=0.17AEp=240VEg2=180VEg1=-17.4VIp+Ig2=17.99mAIg2=4.72mArp=113227Ωgm=1565μSμ=177.2V/V【2本目】三極管接続 Eh=20V, Ih=0.17AEp=240VEg1=-30.3VIp+Ig2=17.97mAIg2=4.65mArp=3342Ωgm=1546μSμ=5.2V/V三極管接続 Eh=20V, Ih=0.15AEp=240VEg1-29.3VIp+Ig2=17.98mAIg2=4.64mArp=3365Ωgm=1493μSμ=5.3V/V五極菅接続 Eh=20V, Ih=0.17AEp=240VEg2=180VEg1=-16.0VIp+Ig2=18.02mAIg2=5.50mArp=94707Ωgm=1490μSμ=141.1V/Vヒーターを18Vに下げても十分なエミッションが確保出来ていることがわかります。それにしても三極管接続のIp特性は美しいカーブを描きますね。見た感じ、スクリーングリッド電流は比較的流れやすい印象ですので、スクリーングリッド損失を控えめにするには動作範囲内で電圧を抑えめにすることかなと私個人は思っています。180Vも掛ければフルパワーが出ます。五極菅接続のほうがスクリーングリッド電流が多く見えてしまいますが、三極管接続ではプレート電流+スクリーングリッド電流ですので、合計値を18mAにすると実際はプレート電流13.4mA時のスクリーングリッド電流4.6mAです。三極管接続でプレート電流を18mAにした場合(多分合計で25mA以上)はもっとスクリーングリッド電流が流れ、スクリーングリッド電流の多く流れるRENS1823dでは多分損失オーバーになりそうです。スクリーングリッドに無理をかけないよう気をつける必要がありあそうですね。比較的感度の高い真空管で、三極管接続240V-30V20mA10kΩ時0.7W、五極管接続240V180V-16V20mA10kΩ時1.2Wといったところ。1本目の五極菅接続は少し段付が出ていますが三極管接続では現象が現れないので、特に問題はなさそうです。とても扱いやすい真空管かと思います。なによりも電極の美しさが魅力の球だと思います。