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世界の片隅で小さな声で申し訳なさそうに「スティール!」と叫ぶ!

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Apr 30, 2021
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カテゴリ:真空管
ソフトンのModel8-205Dという205D出力管シングル動作のパワーアンプを購入しました。

出力わずか2Wの小さなアンプですが、リュート演奏などの静かな音楽ではまず最大出力を超えて歪むことは殆どありません。

ソフトンのアンプ技術解説を見るとわかるのですが、初段のECC82の上にガチガチの半導体回路が組まれて終段に直結している回路です。
プレート電流は常に制御されていますが、壊れたときのことを考えると....古典管にとっては際どい回路です。念のためプレート寸前の所にポリスイッチ(リセッタブルヒューズ)を入れたい気分にもなります。
フィラメント点火は徐々に電圧が上がる回路で、4.5Vではなく少し低目の4.0Vになります。(中国製の真空管はフィラメント切れが早い時期にくると言われるので低目の設定なのだと思います)
因みにこのアンプは、プレート電圧386Vプレート電流30mA前後(プレート損失11.7W動作)の設定で、割とプレート損失ギリギリです。しかし、私の経験的に音が良く感じるのは電流を十分に流したほうが歪みが少ない印象で、勿体ながってチビチビ使うやりかたは音が痩ていたり変に歪みっぽいことがあります。
ただ、使用されているトランスが5kΩ:6Ωなので、8Ωの純抵抗相手にした場合でも、相当ロードラインは立てた状態です。本来なら14k:8Ωくらいにしたいところですが強いNFBで解決しているのかもしれません。
205Dはrpが実測で4.5kΩ程度あるので801A並に結構高いんですよね...。
しかし聴感は悪くはないので、これでよしとしましょう。



私はリュートの音楽が好きでよくCDを購入します。
リュート音楽を聴くたび、オーディオ雑誌に掲載されていた真空管アンプ製作記事の一節を思い出します。

雨に濡れた紫陽花の花びらが季節外れの風に身を震わせている。
この梅雨冷えの夕にギュイ・ロベールの奏でるヴァイスのシャコンヌ。
リュートの紡ぎ出すあまりにも艶やかな憂いこそ、
朽ち果てていく花達へのせめてものレクイエムかもしれない。


私はこの詩に、何か「真空管オーディオらしさ」のようなものを感じるのです。

そして、スピーカーからリュートの音が鳴り始めると訪れる「静寂」が好きなのです。



サイモン・リンネのテオルボ演奏によるCDを聴いてみましょう。

アンジェロ・ミケーレ・バルトロッティ(1615~1682)、エティエンヌ・ル・モワーヌ(1640~1715)、ロベール・ド・ヴィゼー(1655~1732)などバロック時代の作品ですね。


Full Music製205D(UXソケットの205D-Lです)は二枚のプレートの間にグリッドとフィラメントが入っている単純な構造です。

原始的な構造ともいえます。
ただ、ゲッターが真横に飛んでいるので、外から構造が見えづらいのが難点です。


因みに初段は中国の曙光電子(Shuguang Electronics)による12AU7。



スピーカーは丸尾再音の520FPなので、そこそこ効率があります。(たぶん93dBくらい)

リュートやテオルボなどの演奏でしたら、僅かな電力で十分に音楽を奏でてくれます。



ジョヴァンニ・ザンボーニの曲を聴いてみましょう。

野入志津子さんの紡ぎだすアーチリュートの響きが本当に美しい。
教会での録音なので、遠くで鳥の声がします。それがまた、音楽の清らかさを引き立ててくれるのです。


そういえば、作曲家ジョヴァンニ・サンボーニに関する情報は殆どありません。
先に紹介したバルトロッティもボローニャ出身で、何年何月生まれで何年何月に亡くなったという詳しい情報まではありません。
ルモワーヌも同様に詳細な情報がありません。
当時の作曲家は余程の大作曲家でない限り、経歴が殆ど残らないようですね...。



真空管アンプに灯をともし「音楽という静寂」をたのしむ。
ちょっと贅沢な休日の過ごしかたです。





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Last updated  Jul 9, 2023 06:44:57 PM
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真空管の達人@ Re:KELLOGGの401という真空管(01/01) 久しぶりに来たのですが、真空管博物館の…
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