カテゴリ:真空管
秋葉原の真空管ショップで、SPEEDというメーカのS-82-Bという真空管を購入しました。
このS-82-B(他メーカでは182や482とナンバリングされている)は、「45のフィラメント5V版」と言われていますが、果たして...? こんなパッケージです。 値札を剥がしたら、パッケージの印刷まで剥がれてしまった...。 値段は言えません。結構高価です。 MADE UNDER R.C.A. PATENTS と書かれています。 「この製品はRCAの特許技術を用いて製造されています」ということでしょう。 CABLE RADIO TUBE CORPORATION Brooklyn, N.Y., U.S.A. 1924年設立の会社だそうですが、当時は Cable Supply という社名で、 1929年に Cable Radio Tube Corporation という社名に変更されています。 閉業または吸収合併の記録は見つかりませんでした。 定格がパッケージに書かれています。 Ef=5.0V If=1.25A Ep=200V Eg=-29V Ip=18mA まず、フィラメントに注目しますと、 5Vの1.25Aです。2.5V換算でしたら2.5Vの2.5Aですね。 2A3並にフィラメント電力を消費します。 S-82-Bのフィラメント点灯。 しっかりしたフィラメントが橙色に灯ります。 実は、この真空管を欲しいなと思った決め手はこのフィラメントの電力でした。 大食いなので、頑張ってくれるかなと。(^_^; 45のフィラメント点灯。 うーん、細くて暗いですね。 45に比べると太いフィラメントであることがわかります。 その割に..と言ってはなんですが、プレートは45と同じ大きさなので、データシートにはありませんが10W弱でしょう。 プレート電圧とプレート電流の定格は、45に比べると随分控えめですね。 もう少し流せると思いますが、安定した長期運用では控えめでというところでしょうか。 220Vの24mAとか。 では、Ipカーブを描いてみましょう。 まずは参考までに、メジャーな真空管である45(私の手持ちの中古品)は.... こんなカーブです。 対して今回購入したS-82-Bは.... おやおや?随分違いますね。 45は、 Ep=220VかけてIp=30mAくらい流したときに、 Eg=-34V前後、 rp=2.4kΩ前後、 gm=1450前後、 μ=3.5V/Vという測定結果になりました 対してS-82-Bは、 Ep=220VかけてIp=30mAくらい流したときに、 Eg=-29V前後、 rp=1.8kΩ前後、 gm=2400前後、 μ=4.4V/Vという測定結果になりました もう少し控えめな運用を仮定して、 Ep=220VかけてIp=23mAくらい流したときに、 Eg=-32V前後、 rp=2kΩ前後、 gm=2000前後、 μ=4.3V/Vという測定結果になりました。 では規格表どおりの運用を仮定して、 Ep=200VかけてIp=19mAくらい流したときに、 Eg=-29.5V前後、 rp=2.2kΩ前後、 gm=1900前後、 μ=4.2V/Vという測定結果になりました。 この測定結果から見えてきたのは、 S-82-B(或いは182や482)は、45に対して、 ・rpは低め ・gmは高め ・μは高め ・バイアスは浅め ・規格通りに従えばEpとIpは45より低めで運用しなければならない という結果になりました。 後日談: あるコレクターから「手持ちの45が疲れてるから悪いデータではないか」というお話を頂きました。 確かに45は安いジャンクを入手(実は45に興味がないので音が出ればいいやという気持ちで購入)したので、そうかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Aug 3, 2024 09:11:17 PM
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