カテゴリ:真空管
デンマークM.P.PEDERSENのU4E8という真空管を入手しました。
このM.P. PEDERSENはどんなメーカーなのでしょうか...。 WikipediaによるM.P.Pedersenの資料が参考になると思います。 マーティン・ピーター・ペダーセン/Martin Peter Pedersen (1887-1979) は、デンマークのラジオ黎明期のエンジニアで、1912 年に電気技術者として卒業した直後に、ポールセン「Det kontinentale Syndikat(アーク発生装置を作る会社) 」に就職。 その後すぐに英国の「ユニバーサル ラジオ シンジケート」に参加。 そこで出会ったデンマークの電気技師オットー・スコマンドと1914年に「Skovmand & Pedersen」を設立。 オットーが1919年に他界した後、社名をM.P.Pedersenに変更。 1920 年代から独自の真空管を製造開始。 しかし製造コストの問題で1930年代後半には真空管製造を終了。(それで、世に殆ど出回っていないのかもしれませんね) 無線装置に関しては、漁業無線機やアマチュア無線機器を製造していたようです。 製造された無線機器についてはPeel.dkのM.P.PEDERSENのページが参考になると思います。 さて本題、このU4E8という真空管は何者でしょうか... 管面プリントには、メーカーのロゴと型番のU4E8、そして4V2A 500Vと書かれています。 丁寧な造りですね。 U4E8ではなくU4Eなら、Frank氏のM.P.PEDERSENの資料にU4Eの記載があります。 F410互換と書いてあるのでプレート損失25W程度と予想されます。 U4Eの規格はあるもののU4E8の情報がありません。 球球コレクション(D404F203氏)のU4E8の紹介記事にも書かれていますが、このU4Eの後ろにくる8という数字は増幅率ではないかという説です。 そこで、D404F203氏の仮説をetracerを用いて検証してみようと思います。 もしU4Eのグリッドの巻きだけを変えてμを調整してあるだけなら、U4Eに対してgmは一寸高くrpは一寸低くなりそうですね。 古い真空管であるためバラツキも劣化もあるでしょうから、正しい検証にはならないかもしれません。(μ10とμ8は、そんなに変わらないっちゃぁ変わらないですから...) しかし、色々と測定することでIpカーブも見えますし、新しい発見があるかもしれません。 さて、どうなりますか....。 フィラメントに4V2Aを掛けます。 欧州管の丁寧な折り返しフィラメントは、いつ見ても美しいですね。 英国だけでなく、デンマークでもこのような真空管が造られていました。 1本目 美しいIpカーブです。 Ep=500VでEg=-23.5Vのとき、 Ip=41.69mA rp=3183Ω gm=3459μS μ=11.0V/V 2本目 こちらも美しいIpカーブです。 Ep=500VでEg=-23.5Vのとき、 Ip=42.44mA rp=2946Ω gm=3983μS μ=11.7V/V 結構rpが高いですね。 Ipカーブは大電流域でどちらもタレていないのでエミッションはまだ大丈夫そうです。 適合するのは7~10kΩくらいの出力トランスになりそうです。 ソフトンのRW-40-9.5(9kΩ&5kΩのユニバーサル型)の9kΩが最適ではないでしょうか。5kΩに切り替えてB電圧を下げれば手持ちのRD27ASが使えそうです。コアも大きく良さそうなトランスです。 あまり小さなコアのものは巻き数でインダクタンスを稼ぐので、高い周波数のインピーダンスがキュッと上昇する傾向で、コアボリュームでインダクタンスを稼ぐタイプはなだらかなカーブになります。可聴周波数帯域の上の周波数だから関係無いのですが「精神衛生上どうか」という話です。私は極端に小さいコアの出力トランスはあまり好きではありません。 それにコアボリュームがあるほうが低域の周波数特性もなだらかになります。 大きければいいという話でもないですが。 因みに、9kΩのトランスを使ってEp500V掛けて(バイアスとトランスでの電圧降下を見込むとB電圧は多分540Vほどです)Ipを42mAほど流すと最大出力2Wです。 2Wもあれば私のスピーカー(95dBほど能率があります)なら十分鳴ります。 Epは450~80V程度でも十分すぎます。 そして問題の増幅率は11でした。 誤差で10だとしてもデータシートでの増幅率10のU4Eと変わらない感じですね。 それではU4E8の「8」は何の意味があるのか...? 今回入手したU4E8測定結果からは見えてきませんでした。 今回は真空管の測定結果だけでなく、創設者に関してもリンクを貼って紹介致しました。 真空管ひとつひとつに製造したメーカーや技術者の歴史や物語があります。 もちろん真空管を買ってアンプ作ってそれで満足でも良いのですが、 心静かに、その歴史を丁寧にひもときながらゆっくりと真空管を楽しむのも良いかと思うのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 14, 2023 07:30:41 PM
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