カテゴリ:真空管
手持ちにFullmusicの211SLという真空管があります。
といっても、211のようで211でないような....。 ![]() 入れ物だけは立派です。 ![]() トリタンではなく酸化膜フィラメント。10Vの0.65Aです。(めっちゃ効率よくないですか?) 煌々と光りません。 この点は普通の211と最大の異なる点です。 そしてこの不格好さ。 ![]() ゆえに不人気。 ゆえに中古を物凄く安く入手。 ああ、この不格好さは何でしょう...。 たぶん表面積を増やして放熱ボリュームを持たせたのでしょう。 いや、気持ちはわかりますよ。気持ちはわかりますが...。 フィラメントは4本吊り。効率を求めた結果でしょう。 ![]() そしてめっちゃ暗いです。 ![]() フィラメントの灯りはマイカ板に遮られて見えません。 僅かにプレートの隙間から通電されていることが確認できるくらい。 見た目は全く魅力の無い球です。 そんな魅力の無いところが好きですよ、私は。 こんなことを言えるのは超格安で買ったからですが、定価で買ったら発狂ものですよ、これは....。 手放した人も、きっと「光らない」し「絶望的に不格好」で発狂して手放したのかと。(いや、それは言い過ぎ) では、気を取り直してetracerで特性を測ってみましょう。 1本目(ロット番号A812-8) ![]() EP=700VでEg=-24.0Vのとき、 Ip=81.80mA rp=2679Ω gm=4535μS μ=12.1V/V 2本目(ロット番号A812-16) ![]() EP=700VでEg=-22.8V(1本目のIpに会わせました)のとき、 Ip=81.15mA rp=2790Ω gm=4424μS μ=12.3V/V 10V0.65Aですから僅か6.5Wのフィラメント電力。 5V換算ですと5V1.3A。なんと300B並。 このフィラメントでこれだけのエミッションを保っているのは凄いです。 まったく弛みのない綺麗なIp特性です。球の見た目は不格好ですが。 ところで211という真空管は、低電圧動作ですと僅か1~3Wしか出せません。 真空管のフィラメント自体は効率が良いですが、そもそも211が低電圧のA級アンプで使うには効率が悪すぎることがグラフからもわかります。 プラス領域まで振ればもう少しパワーが出せますが、そこまでやりたいか?と聞かれたらノーです。 まぁ我々は1Wもあれば十分です。 超絶安く買った球ですから安く作って遊ぶのも悪くありません。 それにしても、 なぜこんなデザインにしたのか。 そこまで放熱を重視しなくてはいけないのか。 謎は深まるばかりです。 そういう意味では「謎球」と云えましょう。(笑) このタイプで気をつけなければならないのは、電流の低いフィラメントを高い電流を前提としたトランスで灯すと供給する電圧が高くなります。(あまり電圧降下しないので) そうなると寿命を縮めますから、抵抗を入れて調整するか定電圧回路で点火ですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Aug 10, 2023 07:45:17 AM
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