カテゴリ:真空管
RV218という聞き慣れない名前の真空管ですが、
![]() RV258の少し前(1928年)に開発されたもので、最大プレート電圧もかなり低く440Vまでです。 rp5kΩの寝たIpカーブに440Vの制限ではA1級シングルにおいて1W弱しか出力がとれません。 管面の印字は薄く残っています。 ![]() 1本目: Telefunken D.R.P Type RV218 EW 11419/129 1.1A 2本目: Telefunken D.R.P Type RV218 III 13230/010 1.1A 規格に関してはFrankさんの資料室のRV218規格表を参照ください。 古典管でまず困るのがヒーター電圧です。 規格表では7.5Vですが、RadiomuseumのRV218のページでは7.2Vとなっています。 VinylSavorの「Tube of the Month : The RV218 / RV258」では、7.2Vと7.5Vがあるように書かれています。 とりあえずフィラメント電圧は7.2Vと7.0Vを測定します。 ![]() トリタンなので明るいです。 フィラメントを点灯すると、グリッドがらせん状に巻いてあるのがよくわかります。 ![]() フィラメントは細いV字でしょうかね...よく見えません。 今回etracerではEp420VのIp25mAになるところで測定します。 なぜ電流が低目かというと、14kΩのロードラインをひいたとき、グリッド電圧0Vからプラス領域にいかずに大出力を得たいが為です。 アイドリングを40mAくらい流してしまうと、グリッド電圧0Vは目と鼻の先になってしまい出力が取れません。 A2動作が可能ならもう少し電流を流したいですが、A2動作の保証がありません。 そして25mA以上電流を抑えると今度は底付きします。 このあたりがこの子の扱いづらいところになりそう....。 【1本目】 Ef=7.2V, If=1.10A ←少なくとも手持ちのRV218は7.2Vが正解かも。 ![]() Ep=420VでEg=-31.1Vのとき Ip=25.00mA rp=5037Ω gm=1463μS μ=7.4V/V Ef=7.0V, If=1.06A ![]() Ep=420VでEg=-30.9Vのとき Ip=25.00mA rp=5080Ω gm=1451μS μ=7.4V/V 【2本目】 Ef=7.2V, If=1.08A ![]() Ep=420VでEg=-28.2Vのとき Ip=25.02mA rp=4985Ω gm=1585μS μ=7.9V/V Ef=7.0V, If=1.06A ![]() Ep=420VでEg=-27.9Vのとき Ip=24.99mA rp=5038Ω gm=1573μS μ=7.9V/V フィラメント電圧7.2Vと7.0Vは然程変わらないような気がします。 低くても7.0Vくらいまでならエミッションが十分そうです。 測定結果からは「10族に似た真空管」ともいえますが、 rpの割にバイアスは深くgmも低く、10族よりは若干感度が悪い印象です。 そして、24Wのプレート損失を持ちながらA1級動作だと1Wも出ないのが悩ましいところです。 プラス領域が使えれば、10族と同じようにアンプが組めますが、規格表にはプラス領域を使用することが書かれていませんので、たぶんそれは無しかな。 かといって、マイナス領域に限定しつつ出力電力に拘ってロードラインを立てすぎると無帰還では歪みが増えるだけですし。 譲っていただいたオーナーに問い合わせましたが、やはりシングルでは1W程度とのことでした。 この真空管はシングルでA級の小出力モニタとして、大音量が必要なときはB級PPで使用することを前提にデザインされているのかもしれません。(そうすると全てのつじつまが合います) 白プレート(薄灰色のプレート)の後期型ですが、あまりプレート損失24Wを過信すると赤熱しそうです。 やはり、25mA~35mAで、ごくたまにプラスに入るかなという程度が無難そうです。(勿論トランス結合です) そもそも、ウチの環境で1Wもあれば十分過ぎるので、このあたりが良さそう...。 高電圧を扱うRV258より手軽に組めるのは最大の強みかなと思います。 (個人的には多少規格オーバーの460~480Vくらいまで大丈夫ではないかと思っています) コレクションで持っておくだけで終わらせるのは勿体ないので、「あくまで小出力アンプ」と割り切って取り組もうかなと思っています。
Last updated
Mar 16, 2023 07:34:25 PM
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