カテゴリ:真空管
ご縁あってTUNGSRAMのPX2100という真空管を譲っていただきました。
系統としては10族です。 ![]() プレートの表面処理が若干異なりますので、製造ロットが異なっていると思われます。 ソケットは欧州系のB4(UF4ピン)です。(前期型はUXだったようです) ![]() トップにも印字が薄く見えます。 ![]() プレートは大きいのでSTCの4043Cクラスのプレート損失がありそうです。 ![]() 左がPX2100、右が4043Cです。 そして魅力なのは3点吊りのフィラメント。 ![]() ほら、VT52でも2点吊りだけでなく3点吊りのやつも両方買ってしまうでしょ? そういう心理です。わかりますよね? そういえば、電極はマイカやセラミックの支持が全くなく、全て金属棒で支持されています。 箱にRISENCE RCAと書かれています。 ![]() しかしRCAの10とは全く異なりますので、RCAの特許技術を使っているのかもしれませんね。 余談ですが、TUNGSRAM社は2022年に破産したようです。 規格はDoctsf内のTungsram真空管カタログにありました。 Ef=7.5VでIf=1.25A Ep=425VのEg=-39VでIp=18mA 規格表上は10族といえます。(このあと実測で数値が異なることが判明しますが) 10族に関してはEU Valveの「10の各種同等管」が参考になります。 では、etracerで特性を測定しましょう。 400Vをかけて25mAほど流れるところで...。 【1本目】プレートが艶消し ![]() Ef=7.5V, If=1.12A EP=400VでEg=46.5Vのとき、 Ip=24.99mA rp=2875Ω gm=2064S μ=5.9V/V 【1本目】プレートが艶有り ![]() Ef=7.5V, If=1.12A EP=400VでEg=41.2Vのとき、 Ip=25.02mA rp=3369Ω gm=1895S μ=6.4V/V 一般的な10はEp400VのEg-25Vで25mAくらいですので、それに比べ随分と深いバイアスで動作します。 プレートが大きいのでもう少し電流を流しても大丈夫かな。 測定してわかったことは、一般的な10と比べると... ・とにかくバイアスが深い(SYLVANIAの210は-25V前後、RAYTHEONの4ピラーは-35V前後) ・rpは低い(SYLVANIAの210は4.5kΩ前後、RAYTHEONの4ピラーは3.8kΩ前後) ・gmはSylとRayの中間(SYLVANIAの210は1800S前後、RAYTHEONの4ピラーは2400S前後) ・μは低い(SYLVANIAの210は7.8V/V前後、RAYTHEONの4ピラーは7.2V/V前後) SYLVANIAの210ともRAYTHEONの10とも違います。 そしてSTCの4043Cとも違います。 電気特性が他の10族と異なるので、どの球とも簡単に差し換えとはいきません。バイアス抵抗を切り替えるスイッチと電流計が要りそうですね。 しかもPX2100のソケットはB4(UF4ピン)なので、互換性がありません。 PX2100はそういう球なので普通の人は敬遠しがちですが、 こういう謎球こそ私たち謎球ファンの大好物です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 14, 2023 07:16:35 AM
コメント(0) | コメントを書く
[真空管] カテゴリの最新記事
|
|