カテゴリ:真空管
フィラメント電圧と電流のことを色々調べてみましたが、
「うーん、奥が深い」という結論に達しました。(結構難しいです) 【フィラメントの定電流点火のこと】 フィラメントの点火について興味深い記事があります。 オーディオ空間 幸せ日記の 「最終アンプ」(7の1)定電流点火、寿命と音質 [原器を目指した「最終アンプ」]です。 突入電流の話と、使い込んでフィラメントが痩せてきたらどうなるのかという話です。 電源オン時の突入電流が気になる場合は、直列に抵抗を入れ遅延リレーで短絡させる方法も良さそうですね。 別のとあるブログでは、 あるメーカが「ヒーターが暖まってくると抵抗値が増して電圧が規定より上がりすぎるから定電流回路は良くない」と書いたことに対する考察がありました。 フィラメント(ヒーター)の定格とは当然暖まって安定した状態でのことなので、確かにそのメーカの考え方は意味不明に感じました。 オーディオ界隈では著名な方らしいのですが、とても気難しそうな方のブログだったので、リンクは貼りません。 【フィラメントの規格と実測値のこと】 etracerで特性を測るとき、フィラメント電圧と同時に電流も表示されます。 手持ちに有るフランスMAZDAのDW601という真空管を例にします。 規格では4V1Aらしいのですが、実測は4.0V0.9Aとなります。 ここで1Aを信用してしまうと、単純計算で、 点火時4.44Ωのフィラメントに1Aを流すと4.44Vが掛かってしまいます。(実際にはフィラメント温度上昇によりフィラメントの抵抗値は上昇するので、そこまで上がらないですが) それからDA100規格表ですと6.0V2.7Aですが、私の手持ちですと6.0V2.12Aです。 もしかしたら、途中で仕様が変わっているのかも?と私は思っています。 (もういちど測りなおしてみようかなあ...) 皆さんのお手持ちのDA100のヒーター電流は如何でしょうか? もちろん直流点火と交流点火では条件も異なりますが、少なくとも直流点火ではそういう事がありました。 定電流点火で定格運用させるのに重要な事項は、 フィラメントを点灯させ電圧値が規格どおりになるよう定電流ユニットを調整する ということでしょう。 つまり、球の挿し換えや、その球を随分使い込だなぁという時に、必ずフィラメント電圧を確認してあげる必要があるのかなぁと思っています。 余談ですが、 古い時代の真空管で、何V~何Vの何Aという指定のものがあったと記憶しています。 これは電流を守る方が良いか低い側の電圧で使うのが良いか、迷いますね。 【規定電圧の5%説について】 とあるプリメインアンプのフォノ段のヒーター電圧を極端に下げカソード温度を下げた設計のものがあるらしいです。そういうアンプは初段のエミッションが結構落ちてしまい、ヒーター電圧を既定値に戻すと復活するとか。 電子があまり飛ばない状態で 12AU6を6AU6の回路に挿しても動きますが、そこまで下げてしまうと宜しくないと思われます。 それについては「6AU6は半分のヒーター電圧でも動くのか」で紹介しています。 また、情熱の真空管のヒーター電圧と真空管特性の関係でも研究結果が書かれています。 オークションで購入した球が物凄いエミ減でIpカーブがだらりと垂れてしまっているものは寿 命を待つばかりです。そのままでは使い物になりません。 フィラメントを徐々に規定より高めにして10~20秒ほどく焼いてみたりして、gmが変わらなければ本当にフィラメントのエミッション能力の限界です。 その場合は捨てるしかないのですが、ここで重要なのは「自分の真空管だ」ということです。もう、何をやっても誰からも批判されることはありません。 球の寿命と引き換えになりますが、フィラメント電圧を上げると垂れ下がったIpカーブが立ってきます。実用になるカーブのフィラメント電圧でこの真空管をアンプに挿して短命で最後まで使い切ってしまったほうが、私は良いと思っています。 そうやって使っているのが私の「RES964シングルアンプ」です。 いいんです。「自分の真空管で自分のアンプ」ですから。 カソード劣化に関して記載のある記事を見かけました。 HRLの真空管の仕組みと寿命・劣化 フィラメント電圧に関する追記: 大変興味深い記事を見つけました。 「トリエーテッドタングステンフィラメントの実態」 811Aのフィラメント電圧を20%下げてIpを50mAの稼働状態で3000時間以上のデータを取得したレポートです。 予測値より劣化をしていなかったそうです。 残念ながら他に追試されている方を見ていません。もう少しデータが集まると面白いかもしれません。 【PX4は切れやすいの?】 とあるブログの記事で、 「そこの店主にPX4の在庫を聞いた時に、『よく切れる真空管だから止めておいた方がいい』とアドバイスされた。」 と書かれています。 ネットで調べてもPX4が切れやすいという記事を見たことがありません。 この店主がどういう理由で切れやすいと言っているのかは謎です。 これは、絶対ありえない話ですが、 あまりコアボリュームや巻線に余裕がないけどPX25(4V2A)を灯せるトランスがあったとして、そこに電流が半分のPX4を挿すと当然のことながら4V以上になります。 これをお店の常連さんが「PX4は切れやすい」話を店主に言っていたのなら、一寸怖いです。 しかし店主もプロですから、さすがにそういう話で言っているとは思えません。 今年中にPX4のアンプを作ろうと思っていますので、そのあたりの真相は知りたいです。 というわけで、 フィラメントの電圧と電流は「奥が深いなぁ」と感じましたが、 私は電気に詳しくないので完全には理解出来ていません。
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