カテゴリ:真空管
ご縁があってHYTRONのHY-1269という真空管を入手したので紹介します。
![]() 今回のHY1269はどちらもロット番号「7-48」です。 ![]() 1948年7週のロットという意味でしょうか...。 以前、HY69という真空管を紹介しましたが、 似たような名前ではありますが、単にHY69の12V管とは云えないようです。 しかし、特性的には同一で無いものの、どことなく類似はしています。 それについては、測定によって明らかになります。 まず見た目を比較して見ましょう。 左はHY69、右はHY1269です。 ![]() プレートの造りは微妙に異なりますが、大きさは同じです。 どちらもプレート損失30Wです。 HY69という真空管同様にキャビトラップ(Cavi-trap)が設けられています。 ![]() 規格に関してはFrankさんの資料室のHY1269規格表が参考になります。 因みにHY69は、Frankさんの資料室のHY69規格表を参照ください。 規格表を見てまず気がつくのはフィラメントのピン配置です。 4番がサプレッサ以外にフィラメントの中点に接続されています。 この点に関しては、1番5番をショートしてあげると6V点火になるということです。(電流は倍になります) ということで、専用アダプタを自作しました。 ![]() オクタル2番・・・UY1番(フィラメント)5番(フィラメント) オクタル3番・・・キャップ(プレート) オクタル4番・・・UY2番(スクリーングリッド) オクタル5番・・・UY3番(コントロールグリッド) オクタル7番・・・UY4番(フィラメント中心とサプレッサーグリッド) オクタル8番・・・接続無し(※) このように12Vのフィラメントを折り返し並列にすることで6V点火にしています。 折り返し側(12Vフィラメントの中心とサプレッサーグリッド)をオクタルの7番に接続。 ※TU-8200R(魔改造品)は左右独立した6Vスイッチング電源を内蔵し、7番8番はショートしています。 (因みに、HY69は807用のアダプタがそのまま使えます) そして、HY1269ではフィラメントの電力が倍増しています。(HY69の6V1.6Aに対してHY1269は6V3.2A) これはパワフルなサウンドが期待出来ますね!! フィラメント電力が高い方が力強い音がするという幻想をよくいだきがちですが、何の根拠もありません。 と、私の心の中の「創〇の館」が申しております。 では、三結特性etracerで特性を測定しましょう。 Ep=280Vで60mA流れるところで測定します。 【1本目】 ![]() Ef=6.0V, If=3.07A Ep=280V Eg1=-21.3V Ip+Ig2=59.76mA Ig2=3.82mA rp=1457Ω gm=4244μS μ=6.2V/V 【2本目】 ![]() Ef=6.0V, If=3.15A Ep=280V Eg1=-21.0V Ip+Ig2=59.36mA Ig2=3.39mA rp=1449Ω gm=4642μS μ=6.7V/V 綺麗なカーブです。 因みにフィラメントですが、6V3.2Aの規格ですが、実測は3.1A前後という感じです。 (中古だから少し痩せたのでしょうか??) HY69と同条件(三結Ep=280V,Ip+Ig=60mA)比べたとき、 ・バイアスは6Vほど深い ・rpは500Ωほど低い ・gmは900μSほど高い ・μは0.2V/Vほど低い 以上のことから「まぁ類似はしているけど若干異なるね」という印象です。 特にバイアスに関しては気をつけたいと思いますし、なによりフィラメント電圧/電流とピン配置は異なりますので注意したいところです。 早速TU-8200R(魔改造品)に挿してみました。 ![]() 前述のとおり、左右独立した6Vスイッチング電源を内蔵し、7番8番はショートしています。 ![]() 普通のTU-8200Rでは、直熱管を使用できません。 フィラメントを灯すと、明るいし熱いです。 ![]() 消費電力18Wを超えるフィラメントの逞しさと美しさ...。 ![]() スイッチング電源が4Aの容量なので、かなり厳しい動作。 ![]() かといってTU-8200Rのケースに収まる大きさは限られています。 もう少しだけですが電流が流せるスイッチング電源を購入したので、近々改造予定です。 どうかケースにおさまりますように...。 因みにTU-8200Rのグリッドリーク抵抗は100kΩなので、直熱管にとっては高すぎる値です。 割と際どい動作ですが、TU-8200Rはポリスイッチ(リセッタブルヒューズ)がプレート回路に入っているので、過大電流に対しては切断する動作になりますので、それを頼ろうかと。 最終的にはグリッドリーク抵抗ではなく、数百ヘンリーあるグリッドチョークを使うべきかなと思いますが、今のところ壊れていないからヨシとしましょう。 なぜ人類は危険を承知で挑もうとするのか? ということをふと思う今日この頃です。
Last updated
Nov 23, 2023 10:48:50 AM
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