カテゴリ:真空管
以前、RV258という真空管を紹介しましたが、
今回はそれのグリッドのピッチを変えてバイアスを深くしたRV239という真空管を紹介します。 ![]() (因みに今回紹介する239とRV258の前身がRV218になります) RV239についてはEU Valveの「RV258 系」や響 Hibiki「Telefunken RV239」あるいはひま人の館「ドイツ軍用管(増幅管)」などが参考になります。 バイアスがとてつもなく深い という気難しいイメージだけが先行してしまっている球ですが、測定を通して見えてくる「使い勝手」は如何に...?? 規格は真空管(Electron tube) 規格表データベース「RV239」規格表が参考になります。 実はこのフィラメント規格が心に引っ掛ります。 7.0Vと書いてあるのです。 実物のプリントを見ると... ![]() 製造番号は、Nr.107454/0343/VI、Nr.107532/0343/VIです。 そして7.2Vと書いてありますね。7.0Vではありません。 7.0V管と7.2V管が存在するのかもしれませんね。 似たロット番号ですが、ゲッターの飛ばし方が違います。 ![]() これもRV258などと同様にグリッドに謎板が付いています。 ![]() フィラメントを点灯すると... ![]() M字ではなく2本のフィラメントを平行に張っていることがわかります。 ![]() etracerで特性を測定します。 Epは480Vと低目で、43mAほど流れるところを探ります。 また、管面に表記されている7.2Vと低目の7.0Vの2箇所で測定します。 【1本目】Nr.107454/0343/VI Ef=7.2V, If=1.12A ![]() Ep=480V Eg=-85.2 Ip=42.93mA rp=2538Ω gm=1477μS μ=3.7V/V Ef=7.0V, If=1.10A ![]() Ep=480V Eg=-85.2 Ip=42.90mA rp=2545Ω gm=1462μS μ=3.7V/V 【2本目】Nr.107532/0343/VI Ef=7.2V, If=1.12A ![]() Ep=480V Eg=-73.9V Ip=42.93mA rp=2770Ω gm=1504μS μ=4.2V/V Ef=7.0V, If=1.10A ![]() Ep=480V Eg=-73.6V Ip=43.00mA rp=2770Ω gm=1502μS μ=4.2V/V 7.2Vと7.0Vの点灯の差ですが、フィラメントは良好な状態のため、0.2V下げるくらいでは殆ど効率は落ちません。 バイアスが深いという話ですが... バイアスが深いからrpは物凄く低いか?といえばそうでもなく、十分に電流を流して特性の良いところをとってもrp=2500Ωもあります。(gmが規格で1800、実測1500そこそこの設計ですので...) ということで7k~10kΩのトランスが最適負荷です。 使いにくそうな低感度設計の球ですが、その直線性たるや見事ですね。 これは初段とドライバー管の歪率がもろにアンプの音色を左右しそうです。 Epを350Vくらいまで落とせばバイアス電圧も浅くて済みますので、大出力を欲しない仕様も良さそうです。 それでもバイアスは深い球であるので、B電圧としては普通の球より高圧である必要があります。 なんというか、このプレート電圧で使うバイアスが深くて低感度な球は....そう、50系ですよね。 ああいう球のつもりで付き合うとか。 結論として 高圧を掛けて大出力を狙うと気難しい球だが電圧を下げて小出力に抑えれば何とか実用になる ということがわかりました。(本末転倒ですが) 今回、バイアスが深い球という情報しかないようなRV239を測定しましたが、 測定を通して、色々見えてきました。
Last updated
Sep 2, 2023 05:44:28 PM
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