カテゴリ:真空管
LOEWE OPTA AD1という真空管を紹介します。
以前、とあるショップで購入しました。 表側の写真 裏側の写真 以前紹介したVALVO AD1とはかなり異なる構造です。 LOEWE OPTA AD1はごく僅かな期間しか製造されていないそうです。 何と!6点吊りのフィラメントです!! グリッドの放熱板は銅で、何の処理もされていません。 フィラメントは「M M M」の3パラ接続のようにも見えます。 因みに点灯しても本当に暗くて写真が撮れませんでした。このLOEWE OPTA AD1に関してはかなり暗いです。 製造時期の違いでしょうか。4Vと400と2種類表記があります。 以前紹介したVALVO AD1と大きさを比べてみましょう。 若干ですが背は高いです。 プレートに関してはリブが入ったり色々な工夫がされていますが、大きさは殆ど変わりません。 リブの放熱効果は若干は期待されますが、本当に「若干」だと思います。 つまりプレート損失も一般的なAD1に準ずる(15W或いは15.5W)と思われます。 大昔に著名な方がプレート損失30Wと雑誌に寄稿され、これが原因で日本国内のOPTA AD1は駄目になったものも多いと聞きました。 昨今のインターネット時代と異なり、無線と実験やラジオ技術などの記事がリファレンスとされていた時代は「先生」の影響力は今から想像できないほど強かったものと思われます。 しかし、それは致し方ないとも思います。当時の著名な先生方も手探りだったでしょうし。 このLOEWE OPTA AD1については、 里山と音楽のある暮らし「LOEWE OPTA AD1」 あるいは 響 Hibiki「Loewe OPTA AD1」 が参考になると思いますが、メーカーの詳細な資料は私は見つけていません。 普通のAD1に対して物凄く性能が高いわけでもないですが、フィラメント電力が高くて6点吊りなので何となく「強そう」に思えてしまいます。(笑) 規格は Ef=4V If=1.5A(実測では約1.4Aでした) Ep=250Vmax Pd=15Wmax Rp=670Ω μ=4 と云われていますが、はたして..。 etracerで特性をみていきましょう。 Ep230Vで50mA流れるところ。Efは4Vと3.8Vの2点で測定します 【1本目】 Ef=4.0V, If=1.42A Ep=230V Eg=-35.0V Ip=55.06mA rp=737Ω gm6608μS μ=4.9V/V Ef=3.8V, If=1.37A Ep=230V Eg=-34.7V Ip=55.18mA rp=760Ω gm6517μS μ=5.0V/V 【2本目】 Ef=4.0V, If=1.42A Ep=230V Eg=-36.0V Ip=49.98mA rp=755Ω gm6291μS μ=4.7V/V Ef=3.8V, If=1.37A Ep=230V Eg=-35.7V Ip=55.00mA rp=763Ω gm6276μS μ=4.8V/V Efを0.2V落とした程度ではびくともしないエミッションで、大変良好な状態です。 etracerの計算だと、 Ep230V,Ip50mA,RL3.5kΩで最大出力2.55W,歪率5.55% Ep230V,Ip50mA,RL5.0kΩで最大出力2.07W,歪率3.77% といったところです。 (もっと控えめの45mAくらいがよいかもしれませんね...) 以前紹介したVALVO AD1に比べると、 ・rpはほぼ同じみたいです。(740Ω前後で、個体差によりバラつく程度) ・gmが若干高いです。(5200μS前後に対して6400μS前後もあります) ・μも若干高いです。(4.0前後に対して4.8前後あります) ・gmとμの関係でしょうか、バイアスは浅く済む印象です。(-45V前後に対して-35V前後) 総じて高感度であることが云えると思います。 勿論、古典管ゆえに当時の性能が出ているとは限りませんが、私の手持ちではそのような傾向にありました。 1.4倍強の電力があるフィラメントですし、gmも高めのようなので、もしかしたら長時間使用によるフィラメントの電子放射が弱まってきても普通のAD1より若干使える時間が永くなるかもしれませんね。(私の希望もかなり入っていますが...) LOEWE OPTA AD1のフィラメントは通常のAD1同様に0.95A程度だという説がありますが、私の実測では間違いなく1.5Aに近い数値(DCで1.43A)でました。 EBⅢに寄せた設計製造でしょうか、謎は深まります。 今回の実測結果はLOEWE OPTA AD1をお持ちの皆さんの参考になりましたでしょうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Oct 26, 2024 07:29:09 PM
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