カテゴリ:真空管
6A3Bという真空管を紹介します。
![]() 左は一寸緑色っぽいガラスですね。製造時期が異なるようです。 6A3Bは傍熱型でUYソケットです。 一般的な真空管規格表には載っていない謎球で、マツダの規格表には載っているそうです。 マツダだけが作っていた可能性も高いですね。 しかも短い期間しか製造されていないようです。 Gallery on Tubes/真空管展示室 この情報によると高い値のグリッドリーク抵抗は鬼門なので、トランスドライブ一択になりそうですね。ちょっと気難しい球です。 音声用途というよりもレギュレーター用途なんでしょうね。 ピン配置を解析したところ、 1番:ヒーター 2番:プレート 3番:グリッド 4番:カソード 5番:ヒーター というオーソドックスな並びでした。 譲って頂いた元オーナーに問い合わせたところ、1951年の「マツダハンドブック」にのっているそうで、プレート損失は15Wだそうです。 ヒーターの電力高くそれだけでも発熱が結構あるので、少し低く見たほうがが良いかもしれません。 プレートに放熱器が付いています。 ![]() これでプレート損失15Wをクリアしているようです。 ヒーター電力が高いので、バルブとしては相当高温になりますから、動作としてはもう少し控えめが良いかもしれません。 カソードが4本通っています。 ![]() ヒーターを点灯すると、上側はこんな感じ。 ![]() 下側は... ![]() これはカッコいいです! RK-25やARCTURUSの42など、ダブルヒーター(ダブルカソード)のものは片切れしているのがたまにありますから、4本きちんと生きているのは凄いです。 etracerで特性を測定しましょう。 とりあえずEp=250VでIpが50mA流れるところで測定してみます。 ただし、アンプとして作るときは長期間使用を前提に電流を抑えたいところです。 【1本目】 ![]() Eh=6.3V, Ih=1.61A Ep=250V Eg=-47.8V Ip=49.87mA rp=1049Ω gm=3692μS μ=3.9V/V 【2本目】緑色っぽいガラス ![]() Eh=6.3V, Ih=1.66A Ep=250V Eg=-44.7V Ip=49.83mA rp=1040Ω gm=3957μS μ=4.1V/V 6.3Vで1.6Aも消費する、大変効率の悪い球です。 この6.3Vで1.6A消費する真空管で有名なのはKT90です。因みにKT90のプレート損失は50Wです。6A3Bは15Wの小さなプレートです。 この小さな中で大電力でカソードを熱し、必死に電子を放出させようとしているわけです。 もしかしたら..ですが、当時の日本ではこれくらい食わせないとエミッションが確保出来なかったのかもしれません。 この球がカラーテレビ全盛期に作られたらもっとヒーター電力が抑えられているのでは?と勝手に思っています。 直線性は2A3や6B4Gのより良くありません。高圧低電流側(動作としてはカットオフ側)でロードラインがIpカーブの寝ているところに近づきますので、最高出力に向かって歪率が一直線に悪くなる感じかもしれません。 ちょっとR120に近いですね。 しかし直線性が悪いからといって音が悪いとは言い切れません。たとえばおんにょさんの89Yシングルアンプの記事のように、直線性が悪くても大変良い評価のものもあります。 「ヒーター電力が高い」「グリッド電流が流れやすい」「直線性が悪い」というキワモノ的な球ですが、 ![]() この4本並んだカソードだけで全てが許されます。(笑)
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