カテゴリ:真空管
英国マツダ製のAC/PENという真空管を紹介します。
横はスクリーングリッドの端子です。 サプレッサーグリッドがカソードに繋がっている五極菅構造であることが見てわかります。 カソードの赤熱がハッキリと見える構造です。 規格は、The Valve Museumの「AC/PEN」規格表が参考になります。 因みに新型はB7Gのピンになって(横のスクリーングリッド端子も全て下のピンに含まれ)耐圧が250Vになっているそうです。 今回紹介する手持ちのAC/PENは旧型で耐圧が200Vまでです。 プレート損失がわかりませんが、ニッケルの裸のようなプレートですのでザックリ8Wくらいを想定しました。 ※規格がわかりました Frankさんの資料室の「EDISWAN BROADCAST RADIO AND TELEVISION VALVES, TRANSISITORS & PICTURE TUBES 1960 Data Booklet」 etracerで特性を測定しましょう。 Ep200V,Eg200Vで25mA流れるところを測定しました。 【1本目】Eh=4.0V, Ih=0.89A 五結 Ep=200V, Eg2=200V Eg1=-9.7V Ip=24.97mA Ig2=4.94mA rp=255132Ω gm=2079μS μ=530.4V/V 三結 Ep=200V Eg1=-11.8V Ip+Ig2=24.85mA Ig2=4.12mA rp=3531Ω gm=2256μS μ=8.0V/V 【2本目】Eh=4.0V, Ih=0.90A 五結 Ep=200V, Eg2=200V Eg1=-6.8V Ip=24.99mA Ig2=4.89mA rp=179314Ω gm=1833μS μ=328.4V/V 三結 Ep=200V Eg1=-9.0V Ip+Ig2=24.93mA Ig2=4.06mA rp=4041Ω gm=2043μS μ=8.3V/V 五結で1W前後ですが、三結ではrpが4kΩと高目でIpカーブが寝てしまい200V動作では実用になりません。 三結であっても直線性は良くないので期待以下の数値になると思われます。 (音質は数値ではないですが、ここではあくまで測定の数値を重視したいと思います) 今回の測定結果から、この球は五結で使うのが最も良いと思います。 2本目は感度が低いため、1本目のEg2を下げてIpを揃えてあげるのもひとつの手かと思います。 2本目にIpを合わせるため1本目のEg2を175Vにした結果です。 少し揃った感じがします。 Ep=200V, Eg2=175V Eg1=-6.6V Ip=25.00mA Ig2=4.76mA rp=126773Ω gm=2161μS μ=274.4V/V Ipは揃いA級の動作点も揃いますが、元々のgmが異なりますので左右の音量は異なってきます。 Ehを少し下げればgmも下がりますので、上記のEg2を下げる動作とを併用すれば更に近づくと思いますが、そこまで神経質に揃える必要はないかと思います。 アンプを作る場合は左右異なる設定で組むのもありかなと思います。(そもそもgmが異なる時点で音量だけで無く音質も異なるはずですので、動作点を揃える方が正解かと..) 今回のAC/PENは比較的初期の五極菅で興味深いです。 この真空管を設計された人は、今のオーディオ好きがKT150など大型でプレート損失が大きく高感度な真空管を気軽に挿せる時代が来るとは思ってもいなかったでしょうね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 25, 2024 06:38:46 PM
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