カテゴリ:真空管
PHILIPSのE703という真空管を紹介します。
E703で検索してもデータが出てきません。 情報に寄りますと、同等/類似管は、英MAZDAのPP3/425や仏MAZDAのT.H.B12或いはGW302やRCAの842だそうです。 Frankさんの資料室の「842」規格も参考にしてみます。 因みに842は7.5V1.25Aです。 フィラメントは丁寧に3点吊りしてあります。 写真ですと後ろのほうにゲッターを飛ばしてありますね。 プレートは裸のニッケルっぽく、放熱性のあるコーティングはしてありません。 (一部黄色く見えていますが、背景の色が映り込んでいます。普通にニッケルの銀色です。) 両サイドから出ているコの字状の柱がありますので、この部分での放熱が効くのではと思っています。 フィラメントを点灯させるとこんな感じです。 7.5V1Aもあるので明るいですね。 etracerで特性を測定しましょう。 プレート損失は..802のデータから12Wとしました。 先程の写真のとおり、何のコーティングもしていない裸のプレート電極ですので、支柱の放熱を含めても12W弱とみるのが無難かと思われます。 フィラメントは7.5Vと少し低目の7.2Vで見ていきます。 【1本目】 Ef=7.5V, If=1.06A Ep=300V Eg=-57.7V Ip=27.98mA rp=2520Ω gm=1271μS μ=3.2V/V Ef=7.2V, If=1.03A Ep=300V Eg=-57.7V Ip=28.02mA rp=2517Ω gm=1270μS μ=3.2V/V 高圧側でIpカーブの立ち上がりが緩やかで若干寝てきています。(古典球ではよく見受けられますので、私は慣れっこです) 【2本目】 Ef=7.5V, If=1.05A Ep=300V Eg=-59.4V Ip=27.99mA rp=2314Ω gm=1411μS μ=3.2V/V Ef=7.2V, If=1.02A Ep=300V Eg=-59.4V Ip=28.00mA rp=2312Ω gm=1409μS μ=3.2V/V どちらも7.5Vと7.2Vでは全く変わりません。大変良好な状態です。(古典球のmintコンディションは嬉しいですね) ただ...ウワサどおりにバイアスが物凄く深いです。測定しきれませんでした。 1本目の球は高圧側でIpカーブの立ち上がりが良くないので、なるべく直線性の良いところを使うならEpは規格より低めの300Vのバイアス約-58Vで負荷は7kΩではなく10kΩ、出力1Wが限度です。B電圧は380Vくらい必要ですが、程々の電圧の方が部品が安価で済みます。 出力は1Wも出れば十分過ぎるでしょう。 なかなかお目にかかれない珍しい真空管だと思います。 ただ、50族よりプレート損失が低いので人気は無さそうですね。 人気の無い球を愛でるのもまた楽しさのひとつです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Nov 8, 2023 09:51:32 PM
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