カテゴリ:真空管
12E1という真空管を紹介します。
![]() 今回は手持ちの三種類を測定してゆこうと思います。 トップ(プレート)が7mmΦなんですよね。 ![]() この真空管の少々格好悪いところです。 STCのCV345はサイドゲッターです。 ![]() ![]() 良く見るとガラス繊維をワニスで含浸したと思われるチューブがヒーター配線に被さっています。 ![]() ベースの下部は丸みをおびています、 ![]() こちらはブラックプレート。 ![]() ![]() こちらは穴無し。 ![]() 下にUの字の放熱器があるかわりに、トップ側の放熱器もUの字の小さな物になっています。 ![]() 規格は、真空管(Electron tube) 規格表データベース「MAZDA 12E1」リンクと真空管(Electron tube) 規格表データベース「AEI 12E1」リンクが参考になります。 ネットで「12E1の三極管接続は300Bに似ている」という記載を見かけますが、規格表の三結特性を見る限りは、300Bとは似ていませんし、そもそも動作電圧・電流が異なります。 300Bに似ているなんてことを誰が言い出したのでしょうか? 昔から伝承されている話や高名な先生が書いた記事に疑問を持つことも大切かと思います。 ヒーター点灯。 ![]() いい感じですね。 ![]() etracerで特性を測定します。 最大コントロールグリッド電圧が100V迄という記載があるのですが、一寸オーバー気味の120Vまで見ました。 【1本目】「STC CV345」と記されているベース下部が丸いもの Eh=6.3V, Ih=1.72A 三極管接続 ![]() Ep=240V Eg1=-48.5V Ip+Ig2=80.04mA Ig2=5.37mA rp=611Ω gm=6042μS μ=3.7V/V ビーム管接続 ![]() Ep=240V Eg2=95V Eg1=-11.5V Ip=79.58mA Ig2=1.30mA rp=16026Ω gm=8695μS μ=139.3V/V 【2本目】「STC CV345」と記されているベース下部が丸いもの Eh=6.3V, Ih=1.73A 三極管接続 ![]() Ep=240V Eg1=-51.3V Ip+Ig2=80.15mA Ig2=5.40mA rp=614Ω gm=5650μS μ=3.5V/V ビーム管接続 ![]() Ep=240V Eg2=95V Eg1=-12.4V Ip=80.19mA Ig2=1.38mA rp=15372Ω gm=8465μS μ=130.1V/V 【3本目】穴3個 Eh=6.3V, Ih=1.72A 三極管接続 ![]() Ep=240V Eg1=-47.0V Ip+Ig2=80.44mA Ig2=5.14mA rp=647Ω gm=5707μS μ=3.7V/V ビーム管接続 ![]() Ep=240V Eg2=95V Eg1=-10.8V Ip=79.88mA Ig2=0.93mA rp=18336Ω gm=8779μS μ=161.0V/V 【4本目】穴3個 Eh=6.3V, Ih=1.71A 三極管接続 ![]() Ep=240V Eg1=-43.5V Ip+Ig2=79.97mA Ig2=4.95mA rp=671Ω gm=5859μS μ=3.9V/V ビーム管接続 ![]() Ep=240V Eg2=95V Eg1=-9.3V Ip=79.64mA Ig2=1.51mA rp=15199Ω gm=8574μS μ=130.3V/V 【5本目】穴なし Eh=6.3V, Ih=1.62A 三極管接続 ![]() Ep=240V Eg1=-40.1V Ip+Ig2=80.28mA Ig2=4.07mA rp=622Ω gm=6961μS μ=4.3V/V ビーム管接続 ![]() Ep=240V Eg2=95V Eg1=-8.4V Ip=79.56mA Ig2=1.50mA rp=16011Ω gm=9856μS μ=157.8V/V 【6本目】穴なし Eh=6.3V, Ih=1.62A 三極管接続 ![]() Ep=240V Eg1=-48.8V Ip+Ig2=80.04mA Ig2=5.35mA rp=575Ω gm=6387μS μ=3.7V/V ビーム管接続 ![]() Ep=240V Eg2=95V Eg1=-11.6V Ip=79.69mA Ig2=1.97mA rp=15889Ω gm=8401μS μ=133.5V/V ヒーターは穴無し以外は6.3V1.7A、穴無しは1.6Aでした。 もしかしたら途中で仕様を変更しているのかもしれませんね...。 実測しないとわからないことは沢山あり、規格表が絶対信用出来るわけでもないということが、今回の測定で明らかになりました。 動作は、三結で240V,-50V,80mA,2.5kΩ,4.3W,6.5%、ビームで240,V95V,-12V,80mA,2.5kΩ,5.7W,9.5%。 高電圧小電流側(カットオフ側)はIpカーブが寝てきてやや直線性が悪くなっていますが、目一杯使うこともないので気にする程では無いかと思われます。 直線性は規格表ほど悪い印象は無いですが、あまり電流の低いところを使うと良く無さそうです。 かといって、あまり大電流ではシングル動作時にトランスの直流磁化の影響があります。 出力を欲張らないほうが無難かもしれません。 これはなかなか良い音が出そうな球ですね! 今回の測定の結果、確かに300Bの240~250V動作点で考えれば似ているとも云えますが、直線性あるいは動作電圧・電流という視点から見ると、全く異なるように思えます。 念のためJJ製300BのIp特性を掲載しておきます。 ![]() これらの特性を十分知ったうえで「12E1が欲しい」というい人が持てば宜しいと思います。 12E1の三極管接続時のrpの低さは特筆すべきで、NFBを使わなくても十分なDFを確保出来そうです。 直線性がそれほど良くないといっても、三極管接続での非直線歪は最大出力でも7%以下と大変良好です。 造りもしっかりしていて素晴らしい真空管です。 ただし、300Bとは切り離して評価すべきだと思います。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 3, 2025 04:19:34 PM
コメント(0) | コメントを書く
[真空管] カテゴリの最新記事
|
|