カテゴリ:真空管
PA1(P.A.1)という真空管を紹介します。
![]() 管面には特許番号も書かれています。 ![]() 特徴的なのは斜めに置かれた電極。 ![]() ![]() そして私が興味を惹かれたのは電極構造。 ![]() グリッドを包み込むような形のプレート。 ![]() この造りはPA1の一番の魅力かと思います。 箱はこんな感じ。 ![]() 良い状態です。 ![]() STCはStandard Telephones and Cablesの頭文字です。 ![]() STC社は1883年に米国ウェスタン・エレクトリック社の系列として誕生した(International Western Electric Co.)経緯があるため、STCという名前だけで値段が上がる傾向にあります。私個人はこういうのは「ただの神格化でしょう?」「それって盲信ですよね?」と思っています。 Standard Telephones and Cablesという名は1925年にITTに買収されてからのようです。 STCの真空管にITTの印字があるものも見受けられますね。 1987年にノーザンテレコム(ノーテルネットワークス)に買収されましたが、そのノーテルも2009年に経営破綻、2016年に資産全てが消滅しました。 この真空管の規格は、The Valve Museumの「P.A.1」規格表が参考になります。 ハイgmで低い電圧で動作しrpも低くかつバイアスも浅くて扱いやすい印象ですが、 規格表を見る限り、直線性はよくありません。 (悪い言い方をすれば「ただ珍しいだけ」です) etracerで特性を測定しましょう。 ![]() 【1本目】 Eh=4.0V, Ih=0.98A ![]() Ep=170V Eg=-6.9V Ip=42.34mA rp=1383Ω gm=10136μS μ=14.0V/V Eh=3.8V, Ih=0.96A ![]() Ep=170V Eg=-6.8V Ip=42.31mA rp=1400Ω gm=10109μS μ=14.2V/V 【2本目】 Eh=4.0V, Ih=0.99A ![]() Ep=170V Eg=-7.2V Ip=42.02mA rp=1354Ω gm=9820μS μ=13.3V/V Eh=3.8V, Ih=0.97A ![]() Ep=170V Eg=-7.1V Ip=42.37mA rp=1353Ω gm=9870μS μ=13.4V/V 170Vの42mAで3.5kΩ負荷で0.6Wそこそこです。(歪率5.5%) 高電圧低電流領域はIpカーブが明らかに寝てきます。 測定結果から、規格表どおり直線性の悪い球であることが明確になりました。 「コレクターズアイテムですね。最新のオーディオ用途には向きません。」 と言い切りたいところですが、注目すべきは感度の高さです。gmがとても高いですね。 非常に浅いバイアスで動作します。つまり、小さなスイングでフルパワーが出せますので「ちょっとシングルアンプをつくりたい」という需要には合っていると思われます。 rpも低いので、NFBを掛けなくてもある程度の性能は出ると思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Mar 23, 2025 07:26:31 PM
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