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飯塚事件について考えること

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2022.12.19
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実は飯塚事件で死刑となった被告は、裁判の審理の際に福岡大学医学部精神医学教室助教授による「性格鑑定」を受けています。
これは、検察側が請求したものではなく、​被告の弁護人が請求したもの​でありまして、その理由としましては、女児2名をこのような残酷かつ非道な方法で殺害している犯人は性格異常者の可能性が高い訳でして、弁護人は被告が性格異常者とは認めがたいとの考えからこの性格鑑定の実施の請求を行ったようです。そして、その時の鑑定結果が裁判記録に残されています。


以下裁判記録より抜粋
​​ 弁護人は、猥褻目的で登校途中の2名の女子児童を車で拉致して、扼殺し陰部にいたずらしたうえ山中にその死体を遺棄したという本件犯行態様の残忍性冷酷性からみて、犯人は情性欠如型の性格異常者と想定されるが、被告人は、妻子を有しこれまで性格異常を示すような前科もなく、通常の社会生活を営んできたという生活歴からみて、性格異常者とは認め難いから、被告人が本件犯行を犯すようなことはあり得ず、本件のような犯罪を犯すはずがないと主張し、被告人の性格鑑定を申請し、当裁判所は、右鑑定申請を採用して、福岡大学医学部精神医学教室助教授医学博士堤啓に鑑定を依頼した。 
実際の鑑定の経過については長文のためここでは省きますが、興味がある方はぜひ​裁判の判決文​を読んでみてください。
 
そしてこの​鑑定の結論としましては、「この鑑定結果を単独で見た場合に、被告人を犯人と断定することはできない」と結論付けています。

この部分だけ読むと、弁護人の見立て通り、被告を犯人と断定するのは難しく、やはり犯人は別にいるのでは、そしてこの事件は冤罪の可能性が高いと考えられるかと思います。
しかし、裁判記録を読むと、「犯人と断定することができない」との後に
​「しかしながら」との接続詞が続きます。​
こちらも長文なので、要点だけまとめてみます。 
一一 結論

 以上要するに、本件において被告人と犯行との結び付き証明する直接証明はせず、情況証拠によって証明することのできる個々の情況事実は、そのどれを検討してみても、単独では被告人を犯人と断定することができないのである。
(ここまでは裁判記録の原文のままです)

 しかしながら、
​ 
ここから判決文では、他の証拠についての要点をあげていってます。

■マツダ製の後輪ダブルタイヤの紺色のワゴンタイヤの車で、リアウインドーにフィルムが貼ってあるなどといった特徴を有していたこと
■被害児童であるA田及びB山の失踪場所の状況や時間帯並びに右場所と被害児同の死体及び遺留品の発見場所との位置関係や遺留品の発見現場で目撃された不審車両の発見時間からして、失踪場所等についての土地勘を有するものであると推測されること
■被害児童が犯人車に乗せられた機会に付着したと認められる繊維片が発見されているところ、これらの繊維片は被告人と同型のマツダステーションワゴン・ウエストコーストに使用されている座席シートの繊維片である可能性が高い
■被告人車の後部座席シートから血痕と尿痕が検出され、血痕については、被害児童のうちのA田と血液型を同じくするO型であること、尿痕については人尿であることが判明
■被害児同2名とも失禁と出血があり、これらは犯人が被害児童を殺害した際に生じたものであると認められる
■被害児童の体は生前あるいは死亡後に犯人車と接触していることが明らかであるから、犯人車には被害児童の右尿や血痕が付着している可能性があるということができる。
■血痕等が被告人がに付着していた原因については、被告人が犯人であるとすれば、被害児童であるA田らを被告人車内で殺害するか、あるいは、その後、A田らの死体を死体発見現場まで被告人車で運んだときに右の血痕等が付着したものとして、合理的に説明することができる
■死体の腹部付近の木の枝に付着していた血痕並びにA田及びB山の膣内容及び膣周辺から採取した血液の中に被害児童以外の犯人に由来すると認められる血痕ないし血液が混在していたのであり、仮に犯人が1人であるとした場合には、その犯人の血液型はB型、DNA型はMCT118型が16-26型であって、被告人のそれと一致
■被告人が本件当時糖尿病による亀頭包皮炎に罹患していたため、被告人の亀頭が被害児童の膣等に接触した際の刺激によって出したものであるとして、合理的に説明できる
■被害児童が失踪した時間である午前8時30分ころに失踪現場を通過することになり、被害児童が失踪した時間帯及び失踪現場は、被告人が妻を勤務先に被告人車で送った後、被告人方に帰る途中の時間帯と通路にあたっていた可能性がある
■被告人にはアリバイが成立しないのであるから、被告人に犯行の機会のあったことが明らかであること
 
ここからは原文に戻ります。 
​​以上のような諸情況を総合すれば、本件において被告人が犯人であることについては、合理的な疑いを超えて認定することができるのであって、そこから翻って見ると、被害児道が最後に目撃された現場及び遺留品発見現場において目撃された紺色ボンゴは犯人車である被告人車であり、それを運転していたのは被告人であると認定することができる。​​​
 
つまり裁判では、性格鑑定だけを単独で見るとそれだけで被告を犯人と断定することはできないが、その他の証拠との関係を鑑みると、被告を犯人と認定することができると結論付けています。
そして性格鑑定の結果のまとめがこちらです。​​
​​​​鑑定主文では、被告人は情性欠如型(*1)の性格異常者と判断され、その偏りの内容は、人との協調性や共感性、対人関係を円滑に運ぶ技能が不足しており、感情も冷淡で相手の気持ちや立場を思いやって行動するといった成熟度が乏しく、願望や欲動をすぐに満たしたいとする傾向が強く、特に、刺激が強まる状況では、現実的に対処していくことが出来ずにいる、もっとも、葛藤がない平常時には、標準的な物事の受け止め方ができ、性格の偏りの程度は、中程度のものと認められるが、状況によっては重度のものに揺れ動くと考えられ、ストレス状況では、犯罪を犯す本来的な傾向を十分もっていると判断された。​​​​
【参考】
(*1)同情、哀れみ、良心、恥、後悔などを感じない人々。他人の苦しみに鈍感なだけでなく、自分の将来にも無関心になります。普通の人は、人を傷つければ良心が痛むのですが、このタイプの人はなんとも思いません。
 殺人、強盗、レイプなど、凶悪で残忍な犯行も平気で起こしてしまいます。人生の早い時期から犯罪を犯すタイプで、犯行を繰り返します。多くの犯罪者がこの傾向を持っています。

うでしょうか?
この性格鑑定の結果を見ると、やはり被告が犯行を行ったのではと感じられる方が多いのではないでしょうか。冤罪を主張する方々は、何かにつけて「警察による証言の誘導」「警察の証拠の捏造」といった論調に持っていこうとされますが、この鑑定は被告の弁護人が求めて実施したものであり、警察の誘導や捏造とは一切関係ないことは普通に考えればご理解いただけるかと思います。
その結果がこれですからね・・・。



​ちなみに、仮にFBSが飯塚事件の放送の中でこの性格鑑定の件に触れるとすれば、これは私の予断と偏見ではありますが、多分「本件において被告人と犯行との結び付き証明する直接証明はせず、情況証拠によって証明することのできる個々の情況事実は、そのどれを検討してみても、​単独では被告人を犯人と断定することができないのである。」の部分にのみに焦点を当てる​のではないでしょうか。​

FBSも、あの裁判記録の長文の文章の中から、この性格鑑定の部分を実際に読む人はほとんどいないことがわかっているでしょうからね。
このように、裁判記録から飯塚事件の証拠といわれるものをすべて確認してみると、この裁判で犯人であるとの判決が下された理由がご理解いただけるかと思います。

可能性を考えたときに、これだけの証拠についてほぼ全てに当てはまる人物が存在しており、その人物の性格鑑定の結果、「情性欠如型の性格異常者」と判断されています。それらを考慮すると、犯人が他に存在する確率(つまり被告と同様に多くの証拠に当てはまる性格異常者が存在する確率)は、ほぼゼロに近いといっても言い過ぎではないかと思います。
みなさんはどのようにお考えですか?





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Last updated  2022.12.19 20:39:39
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