095756 ランダム
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きょうこの日直日誌

「俺はやってない」

6年某組が荒れている。
それも、すごーく。
ほぼ崩壊状態。

もうひとつの6年生のクラスや3~5年生のクラスも、
だんだん騒がしくなってはいたけど、先週あたりから、まずは
私が得意な授業で引きつけようと思って授業の順番を変えた。
自己申告で、楽譜が読める子と読めない子に場所を分けて、
読めない子集団につきっきりでコツを教えてあげたら、
ほとんどの子が読めるようになって
「今日の授業はおもしろかった!」と言ってくれた。
しかもそれ以来、少し落ち着いて授業を聞いてくれるようになった。

がみがみ怒っても、静かになるのは一時的なものだけど、
「この先生の授業を聞けば、今まであきらめてたことが
 できるようになるかもしれない!」と思わせられれば
授業中に大声を出さなくてもちゃんと聞いてくれるようになる。
河合隼雄先生の本にもあるけど、やっぱり「権力」より「権威」。
授業がしっかりしていれば、子どもはついてくる。

なんだけど!!
その6年某組だけは、手を変え品を変えても男子のほとんどが
授業中に遊びまわっていて話を聞かない。

まあ、生まれて初めて教職を本業にするのに、最初から上手な
授業ができるわけもないよね。そんなに甘くないってことぐらい
自分でもわかってる。ミスチルの歌の「壁は高ければ高いほど
超えたとき気持ちいいもんな」(←だっけ?)という歌詞の
よさを改めてかみしめ、「これからこれから!」と自分を励ます。

ここまで開き直っていて、しかもきちんと授業を聞いてくれる子も
もちろん半数以上はいるから、いまや多少の騒ぎにはどーんと構えて
とくにうろたえなかったけど、今日は先生生活2週間で
いちばん傷ついた事件があった。

4~5人の男の子で、木琴のまわりで遊んでいるうちに、
木琴の足が折れて、木琴がガターンと倒れた。
(後でほかの先生に聞いたところ、もともと弱っていたらしいけど、)
学校のものを壊したということで、壊した当人にはさすがに
いつものおちゃらけ調子はなく、青ざめていた。

それなのに。
「ごめんなさい」のひとことが出てこない。
きっと、罪悪感は感じつつも(と信じたい)、自分の口から
お詫びの言葉を言うなんて、考えたこともないんだろうな。
今まで育ってきて、誰かに謝ったことってあるのかな。
とにかく、悪いことをしたのに謝れないってことが
まずひとつめのショック。

でもこんなのは序の口。もっと傷ついたのは、隣にいた子のひとこと。

別にその子に怒ろうとしたわけでもない。
怒ろうとは思ってたけど、まだ声もかけていなかった。
たしかに、その瞬間に直接木琴をさわっていたわけでは
ないのかもしれないけど、明らかに一緒に遊んでいて、
普段から仲もよさそうだった。それなのに。

  「俺はやってない」

これって、どういう意味の発言だと思う?
あんなに仲良く遊んでおきながら、いざというときに
まっさきにこんな言葉が出るなんて、卑怯者!!
あんたたちの友達関係って、そんなものだったんだね。
いつも一緒に遊んでるくせに、薄っぺらくてすけて見えそうだよ。

友達なら、やってなくてもやった子をかばうとか、
そこまで美談じゃなくても、やった子と一緒に言い訳するとか、
そこまでしなくても、少なくともまだこっちが何も言う前から
「俺はやってない」なんて、回避することないんじゃないの。
自分さえよければいいの?
とにかく自分が怒られることだけを真っ先に避けた発言だよね。

そういうわけで、あまりにもショックすぎて、その後の研修でも
本屋で立ち読みしていたときも、思い出し泣きしそうだった。
授業の準備に時間がかかったり、授業がうまくいかないことなんて
なんでもない。普段仲よさそうな二人なのに、
いとも簡単に身売りされたことが本当にショックだった。

友達ってそういうもんじゃないはず。
それと、悪いことをしたと思うなら、まずは謝ろうよ。
この2つは、どうしても卒業までに教えこみたい。
これってホントは担任の仕事で、週に2回あるかないかの音楽だけで
どうにかできるもんでもないけど、ここまできたら私の使命!

とりあえず、みんなの前でお説教することは避けたいし、
過ぎちゃったことでもあるから、朝、その子ひとりをつかまえて
ちょっと二人で話したいな。

そしたら、きっとわかってくれるはず。うん。


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