095763 ランダム
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きょうこの日直日誌

初心忘るるべからず

学生時代、小学校で放課後に遊んであげるボランティアをしてた。
1年生のAちゃんは、いつも何でも高学年生に混ぜてもらいたがるくせに、
疲れてやめたくなってくると病弱ぶって、ごねてみんなを困らせていた。

あるとき。
走っても走っても誰もつかまえられず、嫌気がさしてきたAちゃん。
  「今日はスイミングの検定で、疲れるようなことはしちゃいけないって
   お母さんに言われたから、鬼ごっこやめる」
そんなこと言うお母さん、いるかー!

またあるとき。
バッターボックスに何度入っても打てず、嫌気がさしてきたAちゃん。
  「そうだ! 昨日おばあちゃんが急に病気になったから、
   看病するために帰らなきゃいけないんだった!!」
急にそんなこと思い出すかー!!!


当時の私はまだ若かったので、最初はストレートに注意していた。
  「そんなに嘘ばっかり言ってると、だんだん遊んでもらえなくなるよ!」
すると、ムキになって「ほんとだもん!」と言ったまま、涙涙。
こんなやり取りを繰り返すうちに、嘘つきぶりはどんどんエスカレート。

そこであるとき、対応を変えた。
ドッジボールで疲れたAちゃんが、とつぜん座り込む。
  「先生ーー。足を捻挫した。痛いよーー!」

どう見ても、そんなわけないじゃん! という唐突なシチュエーション。
でも、今日の作戦は違う。「えっっ! 大丈夫??」と大げさに信用し、
手当てして、翌日に「昨日の捻挫、治った?」と聞いた。
Aちゃんは、そんなことがあったのをすでに忘れかけていたが、思い出すと
すごく嬉しそうに「大丈夫!」といい、その後あまり嘘は言わなくなった。

きっと初めは「自分のことを信じてくれてない」って敏感に感じてたんだ。
話をきちんと受け止めて、全面的に信用したのがよかったんだと思う。


…っていうエピソードを、就職活動で子ども関係の会社を回るたびに話してた。
今回の採用試験でも再び思い出してしゃべってたのに、すっかり忘れてた!


今日は6年生の授業。リコーダーの練習をするのに、
隣の部屋のみならず、隣の隣の部屋も使いたいという。
4~5年生ならいいけど、6年生だと収拾つかなくなりそうだったので、
「すぐキャッチボールとかして遊ぶからダメ」と断った。

すると、「誰がキャッチボールするの?」と真剣な眼差しで質問してきた。
「誰がキャッチボールなんてするの?」。2回も。

きみが先週やってたでしょーーーー!! と思いつつ、
質問してくる真剣な表情と気迫に負け、
「わかった。信用する。使っていいよ」と言った。

そしたら、遠く離れた教室なのに、ちゃんとふざけずに
リコーダーの練習をしていた。

やっぱり、受け止めて信じてあげることってすごく大事だね。
「まずは子どもを信じてあげたいと思います」なんてたいそうなこと言っといて
すっかり忘れてたよ。まず疑ってかかってた(;_;)

たまには初心に帰らねば。


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