初心忘るるべからず学生時代、小学校で放課後に遊んであげるボランティアをしてた。1年生のAちゃんは、いつも何でも高学年生に混ぜてもらいたがるくせに、 疲れてやめたくなってくると病弱ぶって、ごねてみんなを困らせていた。 あるとき。 走っても走っても誰もつかまえられず、嫌気がさしてきたAちゃん。 「今日はスイミングの検定で、疲れるようなことはしちゃいけないって お母さんに言われたから、鬼ごっこやめる」 そんなこと言うお母さん、いるかー! またあるとき。 バッターボックスに何度入っても打てず、嫌気がさしてきたAちゃん。 「そうだ! 昨日おばあちゃんが急に病気になったから、 看病するために帰らなきゃいけないんだった!!」 急にそんなこと思い出すかー!!! 当時の私はまだ若かったので、最初はストレートに注意していた。 「そんなに嘘ばっかり言ってると、だんだん遊んでもらえなくなるよ!」 すると、ムキになって「ほんとだもん!」と言ったまま、涙涙。 こんなやり取りを繰り返すうちに、嘘つきぶりはどんどんエスカレート。 そこであるとき、対応を変えた。 ドッジボールで疲れたAちゃんが、とつぜん座り込む。 「先生ーー。足を捻挫した。痛いよーー!」 どう見ても、そんなわけないじゃん! という唐突なシチュエーション。 でも、今日の作戦は違う。「えっっ! 大丈夫??」と大げさに信用し、 手当てして、翌日に「昨日の捻挫、治った?」と聞いた。 Aちゃんは、そんなことがあったのをすでに忘れかけていたが、思い出すと すごく嬉しそうに「大丈夫!」といい、その後あまり嘘は言わなくなった。 きっと初めは「自分のことを信じてくれてない」って敏感に感じてたんだ。 話をきちんと受け止めて、全面的に信用したのがよかったんだと思う。 …っていうエピソードを、就職活動で子ども関係の会社を回るたびに話してた。 今回の採用試験でも再び思い出してしゃべってたのに、すっかり忘れてた! 今日は6年生の授業。リコーダーの練習をするのに、 隣の部屋のみならず、隣の隣の部屋も使いたいという。 4~5年生ならいいけど、6年生だと収拾つかなくなりそうだったので、 「すぐキャッチボールとかして遊ぶからダメ」と断った。 すると、「誰がキャッチボールするの?」と真剣な眼差しで質問してきた。 「誰がキャッチボールなんてするの?」。2回も。 きみが先週やってたでしょーーーー!! と思いつつ、 質問してくる真剣な表情と気迫に負け、 「わかった。信用する。使っていいよ」と言った。 そしたら、遠く離れた教室なのに、ちゃんとふざけずに リコーダーの練習をしていた。 やっぱり、受け止めて信じてあげることってすごく大事だね。 「まずは子どもを信じてあげたいと思います」なんてたいそうなこと言っといて すっかり忘れてたよ。まず疑ってかかってた(;_;) たまには初心に帰らねば。 ジャンル別一覧
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