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テーマ:時事問題評論(3069)
カテゴリ:時事問題
《東京・築地市場(中央区)の移転先となる豊洲市場(江東区)の安全性について検討している都の専門家会議が19日に開かれ、同市場の地下水から環境葛準の100倍のベンゼンが検出されたとする再調査結果が公表された》(3月20日付讀賣新聞1面)
これはとんでもないことと思いきや 《最終9回目の調査と同水準の結果で、同会議の平田健正座長(放送大学和歌山学習センター所長)は「科学的、法的には安全」と評価した》(同) というから拍子抜けである。 《ガス工場由来の汚染土壌はほぼ除去され、汚染土壌に人が接触するリスクはないため、「法的、科学的な安全性は保たれている」と判断した。地下環境基準は、70年間毎日2リットル飲み続けることが前提で、そもそも豊洲市場の地下水は飲用を含めて利用しない》(同) ということであるから豊洲市場は「安全」なのである。 東京百条委員会において石原慎太郎氏は、 「小池知事は安全と安心がこんがらがってる」 と言ったが、その通りである。否、そもそもこの問題は計画通りに「盛り土」がなされていなかったことを問題視したのが発端であった。が、仮に「盛り土」にしていれば、汚染水が地表ににじみ出てくるおそれがあり、むしろ現在のような地下空洞を作っておいた方が地下に汚染水が染み出るため地表の安全は保たれるのである。 《平田座長は「安全性は地下と地上を分けて考える必要がある」と述べた》(同) と言うのはその通りであろう。 一体小池百合子都知事は何を問題にしているのだろうか。議会が承認し都知事が裁下した決定事項を役人が勝手に変更したのが問題というのならさっさと関係者を処分すればよいだけの話である。 「安全」ではなく「安心」が問題視されているのだとすれば、むしろこの問題を煽っている小池都知事側の問題の方が大きい。 小池都知事はこの問題を政治的駆け引きに使っている節がある。が、このようなことを続ければ、東京都にとってはマイナスであり、「都民セカンド」(都民は二の次)ということになりかねない。 《環境基準は地下水を飲み水に使う場合の目安である。豊洲では飲料水としても食品の洗浄にも使わないから、これで安全性に欠けるわけではない。土壌はコンクリートなどで覆われているので、法的にも何ら問題はない。 (中略) 一方で、築地市場も問題を抱えている。こちらも土壌汚染のおそれがあるうえ、市場内の6棟の建物は耐震性を欠いていることが発覚した。開放型の施設が多いから衛生面にも不安がある》(3月21日付日本経済新聞社説) となれば、むしろ豊洲移転を引き伸ばす方が問題が大きいということになりかねない。 「速やかに移転を決断すべきだ」 という石原氏の見解の方が理に叶っているように私には思われるのだが… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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豊洲市場については様々な情報があって交錯しているので、本当に安全なのかどうかは私には分かりません。
ただ、少なくとも地下水のベンゼン濃度に関していうならば、それを根拠に市場が危険であると主張するのは不適当であると私も考えています。 さて、この問題は最終的には東京都民が判断することです。彼らが関西人のアドバイスを参考にするかどうかは分かりません。 ただ、もしも参考にするのであれば、例えば大阪環状線大正駅の近くにある京セラドーム大阪は、もともと大阪ガスの工場があった場所ですが、特に健康被害など発生していないということを含めて考えるべきでしょう。 豊洲移転問題ほどには話題になっていませんが、他にも似たようなことがあります。羽田空港についてですが、東京都心を低空飛行する新ルートが設けられようとしています。それで、低空飛行は心配だということで反対運動があるようです。大阪都心の空を通る飛行機なら今でもたくさんあるんですけれどもね。 豊洲のことよりも、まだまだ収束が見えない原発の汚染水の問題のほうが遥かに深刻なはずです。東京都心を低空飛行する新ルートのことよりも、横田空域の問題のほうがはるかに重大なはずです。 世間で騒がれている問題だけを集中的に気にするのではなく、多種多様な問題に関心を持つことも重要でしょう。 (2017.03.25 22:56:49)
仰る通りですね。
安全、安心を考えるのなら、少し俯瞰(ふかん)的に見て、福島第一原発や横田基地について考えることも必要です。 東京都は一地方というよりも日本の中枢を担っているのですから、小池都知事にはもっと大局的視座を持って欲しいものです。 (2017.03.26 15:45:47) |