2024/10/29(火)20:00
教育について(64)増え続ける不登校児童生徒
《平成12年度中に30日以上欠席した不登校の児童・生徒の数が、日本全国の小・中学校で約13万4千人にも達していたことが、平成13年5月の文部科学省の調査でわかった。これは、前年度より約4千300人も増加していて、最多を更新するものだ。小学校では279人に1人、中学校では38人に1人の割合で不登校の子どもたちが存在することになる》(渡部昇一『国民の教育』(産経新聞社)、p. 12) 最新の令和4年度の調査では、小・中学校の不登校児童生徒数は、全体の生徒数が減少しているにもかかわらず、約29万9千件に倍増している。《小・中学校で不登校の児童・生徒の数が10万人を突破したのは、平成10年のことであったが、それからわずか2年の間に3万人、率にすれば3割強も増加していたというわけである。高校を中退している生徒の数も、平成10年度でやはり10万人近くに達していたが、これも13万人以上にまで膨れあがっているかもしれない。 ひと口に13万というが、これは定員500人の学校に換算すれば、260校分に当たる。つまり、今の日本では260校分の小・中学生が不登校になり、同じく260校分の高校生が中途退学しているということになる。 小・中・高合わせて520校分の生徒が「消えている」という一事をもってしても、日本の学校教育がすでに破綻(はたん)しかかっていることは明らかであろう。にもかかわらず、こうした事態に対して、日本の文部科学省は文字どおり手をこまねいているだけである》(同、pp. 12f) が、私には、文科省は手を拱(こまね)きすらしてしないように思われる。「どこ吹く風」なのだ。文科官僚にとって気になるのは、教育現場の問題ではなく、「天下り」先の方であろう。したがって、生徒数が減少しようが、大学の数は一向に減らない。また、公教育では対応しきれない教育改革によって、入試がお金の掛かるものとなり、私的教育機関が潤う結果となってしまってもいる。《中途退学した高校生に対しては、大検、つまり大学入学資格検定という制度があるからまだ救いがある。大検の資格を得れば、高校を中退しても、また最初から高校に入らずとも、大学に進むことができるからである。 ところが、義務教育を標榜する小・中学校ではそうはいかない。義務教育には、大検に相当する検定試験はない。だから原則論をふりかざせば、学校に行きたくない子どもや行きたくとも行けない子どもは義務教育未修了者となり、上の学校に進学する道を塞(ふさ)がれることになってしまう》(同、p. 13)