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照千一隅(保守の精神)

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「照千一隅(しょうせんいちぐう)」(一隅を守り、千里を照らす)は伝教大師・最澄の言葉。本を読み、考えたことをこのブログに書いて参ります。ご意見、ご感想など御座いましたら是非お寄せください。

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2025.06.23
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カテゴリ:時事問題

  思想家の役割は真理の発見や発明ではない。たゞ1つの真理を如何(いか)に掴(つか)んで如何に表現するかによる…真理には古いも新しいもない。思想家が相手にしてゐるのは、たゞ1つ真理だといふことを君は言つた

 小林 聖人には常の道無し――と老子は言つた。真理は1つだからこそ道は臨機応変になる。

(小林秀雄・林房雄「歴史について」(対談):『文学界』昭和15年12月号、p. 64

 状況に応じて柔軟に形を変え得るから「真理」なのか、それとも、いつ何時(なんどき)でも決して形を変え得ないからこそ「真理」なのか。ここでは時間と真理の関係について深く足を踏み入れることは本筋から大きく逸れてしまうので避けるが、いずれにせよ難しい問題である。

  日本の歴史を動かしてゐるのは右翼なんだよ、実は――。何故かといふと、右翼に理論が無いと言はれてゐるが、実は大理諭を持つてゐる。左翼や中間派は合理主義の埋諭しか持つてゐなかつた。誰の眼にも理論らしく見えるが、人を動かす力はない。だが、右翼は大変な理論を持つてゐる。神といふ理論――これ程大きな理論は他に無い。だから、右翼は日本を動かすことができた。(同、pp. 65-66

 「神」をどのように定義するのかもまた難しい問題であるが、西洋のGodとは一線を引いて考えるべき存在だと思われる。林氏の言う「神」とは、おそらく宗教的なものではないだろう。今を生きる者たちを見守る先人、俗世を離れ聖域に住まう超越的なる存在、それこそがここで言うところの「神」というものなのだろう。日本には、悠久の歴史がある。それが我々には神々が付いているという意味だ。

伊藤博文といふハイカラが日露戦争を何故起し得たかといふと、その頃の右翼に嚇(おど)かされて引きずられた。伊藤博文のやうな第二流の英雄といふ者は皆んな合理主義者なんだ、だから数字や現象に頼る。日本よりイギリスが強く、日本よりロシアが強い、何故なら軍艦がこれだけあつて兵隊がこれだけあつて、鉄道が、電信がこれだけ延びてをり、それにくらべて日本の文明程度は未だ貧弱にして云々といふのが伊藤博文の総理大臣としての「理論」であつた。(同、p. 66

 これは「理論」というよりも「理屈」程度のものであろう。ロシアのような大国と戦争に踏み切るには相当な勇気と覚悟が必要だ。が、伊藤にはそれがなかった。だから、やれない理屈を組み立てた。が、それではロシアは南下し、いずれ日本は蚕食(さんしょく)されてしまう。したがって、伊藤に必要だったのは、やれない理屈を組み立てることではなく、やれる方法を見付けることでなければならなかった。【続】






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Last updated  2025.06.23 10:00:05
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