生きる~ぼくの形而上学~虚無が襲ってきた虚無が襲ってきたそれは大学2年生のとき突然やってきました。 高校に入学したのは、ただ大学進学したいという考えからでした。3年生になって、大学では何を勉強したいか、将来何になりたいかということより、それまでのテストの成績を参考に、ここなら合格するだろうというデータをもとに、大学を決めたのでした。 いい加減に決めた学部ですから、授業に出ても面白くなく、眠ってばかりでした。その上、教える教官のやる気のなさも手伝い、どうせ寝るなら布団の中で、と2年生になってからはほとんど授業にも出なくなってしまいました。 勉強は面白くない、本気で打ち込めるものがない、かといって何かをせずにはいられません。ただ、古いしきたりが残る寮生活で、半ば強制的に運動部に入らされていましたので、それに青春を懸けようと自分に言い聞かせていたところがありました。今思えば、それはすがるものが他に見つからなかったからでした。 そんな中、毎日を充実したものにしたい、精一杯生きたいという思いが強いものですから一日が終わると、自分自身に『今日一日充実していたか』と問うのです。体はくたくたでもまだ体は動きます。その時返ってくる返事は『NO』でした。いくら体を痛めつけても疲れていてもその度返事は『NO』でした。 答が『YES』でなければ、ぼくの存在価値が失われてしまいそうになるのです。それからは何をしても、自分を納得させる答えが出せず、常に虚無感が襲ってくるようになりました。毎日、何度も『お前は何のために生きているのか』という問いが繰り返し襲ってくるようになりました。それにきちんと答えなければそれは自分の存在意味はなく、それは死を意味していました。 寮では周りの殆どの者は部活、特に運動は熱心にしていました。部活がないときにはマージャンやパチンコ、ダンスパーティ、女子大生との合同ハイキング、飲み会等と結構楽しんでいるようでした。しかし、ぼくには彼らと同じように楽しもうとしてもできませんでした。 親しい友人はいました。そしていつも一緒にいました。そのことは楽しいことでしたが自分の悩みについては話すことはありませんでした。言ったところで真面目に話を聞いてはくれないだろうと思っていたからでした。しかし、本音のところは、言い出すのが恐ろしくその問題から逃避しようとしていたのでした。 |