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カテゴリ:辛かったこと
昨日88歳の胆管癌の女性が亡くなった。がんが肝臓や腹膜に転移しており手術などの適応はなく、苦痛がないように見守ってやるしかない現状だった。京都から長女の方が泊まり込みで見舞いに来ていた。本人も長女の方も病状を正確に認識しており、「手術や抗がん剤などでなく痛みなどに対する対症療法でお願いします」と言われていた。今は便利な麻薬の貼り薬などもあり、「分かりました」とお答えして対応していたが痛みが想像以上に強く、貼り薬の麻薬量を思い切って増量したら調剤科から「麻薬量は順次少量ずつ増加してください。いきなり前量の2倍、3倍に増やすと呼吸抑制などの副作用を起こすことがありますので標準的使用法でお願いします」と助言された。痛みや腹水による腹満、強い黄疸、尿意頻回など診ていてもこちらも辛くなる状況で耐えていたが、昨日その苦しみから解放されて冥土へと旅立った。看護師やリハビリ担当者などもつらい思いをしながらよく看てくれたと思う。もう助かる見込みはなくお迎えに来るのを待つだけの心境は大変なものだったと思う。ここまで進行する前は外来に通って冗談などを言っていたので、今回も回診時、「またあの頃のように外来で診てもらえるようになりたい」と言っていたが無理と分かっていても色々な希望や望みを持っているのだなと思った。「対症療法」お願いしますと言われて必ずしもそれにお答えできたかどうか自信はないが、人の最期は辛く厳しいものだということを実感した。
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