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テーマ:読書(8186)
カテゴリ:辛かったこと
数日前から咲きだしたシャクヤク
50年くらい前に発表された、ある医師が70歳頃書いた実録小説「ザ・ドクター」を読んでいる。著者は半年くらい前からしゃがれ声になり、3人位の友人の医師に診てもらったが異状ないと言われ軽い炎症があるようだから「抗生物質でも飲んでみたら」と言われたり「ストレスがあるようだから散歩するようにしたら」などと言われて真面目に家の周囲(オレゴン州ポートランド)の公園の散歩をしたりしていたが一向に良くならない。それを医師に言ったら声の出し方の訓練をするように言われて発声学科に紹介されて声帯の動きを見るためにビデオをとってくれた。その時声帯に明らかな腫瘍があるのが見つかり、病理学検査でもガンであった。半年も前から異状を訴えてきたのに「異状なし」と言ってきた医師を恨みたいが彼らは喉頭鏡で口の方から光を当てて口側の声帯のみしか見ていなかったのでその裏側にあったガンは見逃してしまったのである。もうかなり進行していて手術不能と言われて放射線治療を勧められた。自分も医師として多くの患者さんを診てきたので進行がんの行きつく先は分かっていたので死を直感した。 その時次のように思った。今となれば金は全く重要ではない。核による大虐殺も環境問題もどうでもよくなった。世の中は常に変転している。我々は変転している塵の一部にすぎない。子供が先でなく親がすでに死んでおり今度自分が死ぬ順番ならなんの不足もない。半年も誤診して病気を進行させてしまった医師達を恨んでも仕方ない。自分だって誤診したことがあるのだから。などと悟ったようなことを思ったがその夜は殆ど眠れなかったとのことである。死に直面した時それぞれの人生に応じて人は様々に考えると思う。ここでは医師が自分が進行ガンと分かって死の覚悟を述べているが、それぞれの人はどのように思うだろうかと思った。付け足しだが、この本ではその後手術を受けることになり、奇跡的に助かってその体験をこの本に書いたみたいだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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