以前に紹介した「北ベトナム報告」という本が非常に面白かったので、同著者の最新刊である「激動の現代史五十年 国際事件記者が抉る世界の内幕」を読みました。400ページ以上の結構分厚い本で、読みきらないだろうなあと思っていたら結構一気に読了してしまいました。
著者の若きジャーナリスト時代から、自らの取材史を書き起こすように、戦後国際政治、日本外交を描写しています。特に前半の彼自身が最前線で取材活動に従事していた頃の描写は、はらはらするほど迫真に迫るもので、多くの証言や記述も「こんなことまで書いていいのかなあ?」と思うくらい、ほとんど実名入り。大変迫力がありました。特にアラブ大同団結決議を国連でまとめた際の、藤山外務大臣のエピソードなど、日本外交に関してのメッセージもふんだんに盛り込まれていました。後半はそれに比べると、評論家チックという意味で、それ程エキサイティングではないかな?
特に自分が感じたのは、ジャーナリストが信念を持ってジャーナリストしている、という当たり前のように見えて簡単にはできないことです。もちろん、ジャーナリストとしてはスクープをゲットすることが他社との競争という意味で大事ですし、そういうエピソードもたくさんありました。しかし、その中にも日本や世界がどうあるべきか、またそのためにジャーナリズムがどうあるべきかを常に考えていたんだろうなあと思わせる著書でありました。政治家や外交官とも緊密に接触し、ある種の政策提言的なこともしばしば行ったと記しています。総理大臣とジャーナリストがこういう政策アドバイザー的関係になることもある(今もそうなのかな?)のかあと驚かされます。ちょっと厚い本ですが、日本の戦後史を振り替えるにもとっても貴重な本であると思います。