036830 ランダム
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これから、これから。

「ポンヌフの恋人」について

過去もこれからも一番好きな映画である。
一番最初に観たのは高校生の頃。
最初の感想は暗い映画、でもなんとなく心にひっかかる。
高校を卒業して大学生になるまで家で暇をもてあましていた頃
もう一度観てみた。
その時の心の動揺は今でもはっきりと覚えている。
楽天家だった自分が繊細で暗いものが好きだと初めて自覚した。
主演のドニ・ラバンはまったく知らず、ジュリエットビノシュは
当時よく知っていたが特別好きではなかった。今でもそうである。
しかし、この映画の彼女は素晴らしいと思った。
まわりにいた母や姉は早送りをして観ていたように思う。
自分がいくら「いい」と言っても彼女達にとっては特別にはならなかったようだ。ここに感覚の違いがある。
あれから数年経ち、私は今まで5回観ている。
落ち込んだとき、眠れないとき、この"究極の愛"になんとなく励まされるのは
私だけであろうか。

橋の下で天蓋孤独に過ごす大道芸人アレックスは初めてミシェルに恋をした。
ミシェルは恋の痛手と目の病を持つ画学生だ。
アレックスはどんどんミシェルを好きになる。
アレックスの痛々しいまでの純粋な恋、美しさ、はかなさ、切なさ。。
「誰かを愛しているなら"空は白い"と言ってくれ。もしそれが僕なら
こう答えるだろう。"けれど雲は黒い"と。」
革命200年祭を祝う花火をバックに2人は踊り狂う。
大声を出して笑い転げる2人。
モーターボートに乗るミシェル。
圧倒的な映像の美しさと疾走感。
暗闇からはじまり希望へと疾走し落下していく。
そして再び再会し「目覚めよ、パリ!」のラスト。
私はこのラストが少し納得いかないが、ミシェル扮するビノシュが
ハッピーエンドにしてくれと当時付き合っていた監督に
頼んだという。

一番多く観たのは20代前半であり、自分自身
悩みに悩んでどうしようもない時期であった。
不器用なアレックスを観て自分を奮い立たせていたのかもしれない。
年を重ね、そんな不安も無くなった今であるが
やはり今もこれからもナンバーワンな映画であることは間違いないであろう。


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