さつまいもが発酵！？( ﾟДﾟ)と驚きましたが、
“せん”は、対馬の人々の暮らしを助け、その作り方が大切に受け継がれてきた保存食なのです

対馬は、平地が少なく土地が痩せているため、お米などの栽培が厳しく、かつて島民は食糧難に苦しんでいました。

解決策を考える中、江戸時代の対馬の救世主的存在になったのが、痩せた土地でも栽培が多く可能なさつまいもだったといわれています。

人々の命をつなげたさつまいもは、“農民孝行する芋”といわれるようになったことから、対馬でさつまいもは“孝行芋”と呼ばれるようになりました。

暮らしを支える孝行芋を長期間保存できる“せん”が生み出され、その技は親から子へそして孫へと伝承されてきました。


“せん”の由来は、作る時に千の手間暇がかかるということからきています。

なんと、4～5カ月もの期間をかけてつくられるそうです！

現在は、島内の“せん”づくりの後継者が減っており、どのようにして作り手を残し伝統を引き継いでいくかが課題のひとつになっていると島の方は仰っていました。

大陸から対馬に吹く冷たい風が、“せん”のよりよい乾燥具合を引き出すということで、対馬は“せん“づくりにピッタリの環境なのです。

【せんづくりの工程メモ】

お芋を洗う→お芋を砕く→お芋を水にさらしあく抜きする（2カ月程）→乾燥させ発酵させる→大きな団子状にする→団子に黒カビが発生するまで放置（3週間程）→黒カビ団子を水にさらす→濾して再度水にさらす→ざる等にあげて沈殿したでんぷん質を取り出して小さく団子状する✨

長い過程と期間を経て出来た“せん”の食べ方のひとつが、“ろくべえ”

じゃん！今回作った“ろくべえ”です



あっさりとしたお味と、プルプルツルンッとした食感は、優しくてとっっても美味！
虜になるのです！
私は初めて知った時、まさか、さつまいもがこんなカタチに変身するとは！と目を見張りました。

手づくりの宿を営む内山文男さん・美津子さんご夫婦は、宿の“ろくべえ“づくり体験に込めた思いを「皆さんが実際に作ったものをご自身で食べていただける機会を通じて、ろくべえづくりの技を身近に感じてもらいながら、伝統を受け継いでいきたい」と仰っていました。

【ろくべえづくりの流れメモ】

🍠１、ボールに入った“せんだんご”に少しずつ水を足しながら手でこねます。
水を加えると素早く水を含みます。水の量で食感が変化してしまうそうなので慎重に！
※こちらの宿では、さつまいも栽培や“せん”づくりもされていて、今回の“せん”の基の品種は紅乙女と紅はるかです。






🍠２、粘り気を指先から感じるくらいこねたら、丸めて、湯通しします。
色が濃くなったら湯から上げます。




🍠３、少し冷めるまでへらで混ぜてから、再度手でこねます。



🍠４、火にかけた鍋の上に“ろくべえせぎ”を設置し、こねた“せんだんご”を手の甲でぐっと押し伸ばして、ぐつぐつ沸騰する湯の中に出していきます。
押し伸ばす力加減で麺の長さが変化するということです
力のかけ方を奮闘すると同時に、容赦なく手に伝わってくる湯の熱さとの戦いが待ち構えています！🔥
※“ろくべえせぎ”は、“せんだんご”を麺状にする道具の名称です。
こちらの宿では、手作りのものを40年以上愛用されています。



🍠５、湯の中で麺が浮いてきたタイミングで鍋から取り出します。


🍠６、水にさらし、水気をよく切りお皿に盛り付けたら完成です！




さつまいもを使用した伝統料理の世界、皆さんも触れてみませんか。
ほっこり ほくほく さつまいも