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オーロラ日記

オーロラ日記

2004年3月23日小豆島拇岳マルチピッチ記録

     落ちられないクライミング、マルチピッチに挑戦(香川県小豆島)    2004年3月23日

以前から話にはあったのだが、なんせ初めてのことと言うこともありなかなか前に進まなかった小豆島マルチぴちい計画、ついに念願かなって今日プロジェクトが発動した。
メンバーはTOPの馬場さん、フリーの経験とともにスペインでもマルチピッチなどを体験していることもあり今回のリーダー。あとど素人の川村さんとワタシ。

9時に三木町に集合、まったくの素人を100mの岩場に連れて行くわけだから、最初が肝心・・。
懸垂下降、セルフビレイ、プルジック、緊急時の脱出法などひととおりの動きを教わる。
今日教わった事を、生の岩でやるわけだから忘れる暇もない。
万一何かあった場合の心得は「冷静な対応」これを超える危険脱出法はないと思う。

気が付くと12時前、心配して見に来てくれたフジモリさんに急かされて早速小豆島に渡る、12時35分の小豆島行き、約1時間の船旅。船内ではプルージック用のシュリンゲ作り、4mmと6mmの細引きを適当な長さに切ってループを作る。コレで準備万端。

13時30分土庄着、ちょっとした用事の為、拇指嶽のある橘という集落に付いたのは14時30分、
道に迷いながらもお堂の裏の駐車スペースにたどり着く、荷物の準備はすでに出来ている。

★橘のお堂のうらの駐車場へは:点滅信号手前の、集合住宅の間の道を左折する、そのまま拇を右に見ながらあがっていくと200mくらいで打ちっぱなしの細い道路に出る、そのまま上がっていくと砂防ダムに行ってしまうので砂防ダムの前で右に折れる、畑の中を100m登りカーブを曲がった所で右に折れる道があるので入っていく、そのまま突き当りまで行けばお堂の裏の広場(車が3台くらい)にでる。

準備をして、先ほど車で通った道を50mほど戻ると山の方へ石の階段が続いている、コレがアプローチの入り口、ココから約30分拇を見ながらやぶの中の獣道を登っていく、どこが道なのか分からない。すっきりとした林床、ガレた足元。人がどこを通っていっているのかがまったく分からない。


拇の基部を目指す、今日のルートは代表的なダイレクトルート、ちょうど岩壁のまん前になる。
30分程で茂みの中の基部に到着、ただ、取り付きが分からない。慰霊碑のレリーフがあるといわれたが見当たらない、拇から離れておくの岩場などまで行ってしまう、到着したときには30分ほどロスをしていた、最悪。アクセスの分かりにくさがどうにも気に入らない。

[1P目]
木に囲まれた基部の眼の高さにある四角いレリーフの右奥からスタート、無理なら途中で下山を覚悟で15時35分登攀開始、1ピン目を確認して馬場さんがTOPを掛ける。ヌンチャクは7~10本程あれば足りる様子、12分くらいで最初のテラスに抜ける。体が未だ温まっていないのでちょっと気持ちが悪そう、地無ニーにステミングしながら登っていく。ピンは7本(2m以内間隔)くらい、グレードは5.8あるかないか・・。2nd、3rdとも5分もあれば登れる。3人で30分かかる。

1Pと2Pの間のテラスにて。それ程広さは無いが、くつろげる。

[2P目]
木の高さが10m弱なので20m弱くらいの最初のテラスに立つとぱっと上部が見える。
3rdのワタシは回収したヌンチャクでそのまま2P目に突入、レイバック気味のがばがばルート、あちこちでホールドが浮いているのが気がかりだが無事通過、2P目終了のテラスは幅10cm、横2mほど壁の中にいる高度感がたまらない。グレードは5.8/9くらい、ピンは7本くらい(2m以内間隔)。20mあるかないかの長さ。3人で30分で抜ける、順調。

[3P目]
馬場さんがTOPを登る、ノーレストでそのまま上がっていく。
テラスから真上に登り大きな出っ張りをアンダーで左から回り込む形でちょうど頭の上アタリのテラスに抜ける。3P目の終了のテラスは分かりにくく最初に小さなテラスがある、ここにも確保点があるのだが2m左上にもっと大きなテラスがあり、そこに始めてのペツルが打ってある。ココまで登るのが正解らしい。グレードは5.9くらい、ピンは12,3本(2m以内間隔)あれば安心できる量、長さは20mちょっと。ココも3人で35分くらいで登れるピッチ。

2Pと3Pの間のテラスにて、K村さん。






3P目と4P目の中間のテラス、だが少し間違って2mほど下の小さなテラスでピッチを切ってしまう。2m上にはダイレクトルートで始めてみるペツルのボルトがうってあったのに・・。

[4P目]
3P目で少し休憩を入れた後、核心ピッチに突入する、時間的なものも考えたが3P終了で17時15分、あと2Pを1時間かけても十分間に合うと判断。明るさはある、少し気温が下がっている。
4P目はテラスから左上、左上のルーフっぽくなっている縦の亀裂を登ったところが次の大テラス。
私がそのまま4P目に入る、どう見ても今までよりも長い。核心と聞いているだけにちょっと不安。始めの10mはそのまま階段登り、いよいよ核心というところにはたくさんのハーケンやリングボルトが一直線に並んであるのですぐに分かる。そこにピンが集中している分下部は結構なランアウトしている。ココで最初のテンションをかける、ザイルが重い、ヌンチャクへをマスタークリップしてザイルをクリップするのが最大の核心だと思う。もちろんハーケンやピンは信用できないから迂闊に落ちられない。そのまままた2mほど上がる、ココで2度目のテンション。ザイルが寄せられない。足に力が入って手よりも先にパンプする。ヌンチャクを手繰り上にクリップしてしまえばすぐに超えられた。時間を思った以上に消費する、あわてて大テラス(ペツル有)まで抜ける。息が切れて足が完全にパンプしていた。17:55、この後2ndを上げて、暗くなる前にトップアウトしておけばザイル伝いにでも上がれるという判断ですぐに5P目に入る。
グレード5.10b、ピン15~20本あれば安心(下部3m間隔、上部50cm間隔)長さは25mくらいは十分ある。

 

[5P目]
2nd川村さんが大テラスに、3rd馬場さんが4P目開始のテラスにいるところでワタシが5P目を上がる。長さは20m弱、完全なスラブ、ホールドは大きい、5分もあればマスターできる。トップアウトが18:18、頂上で確保(ペツル有)してまだ壁の中にいる2人が上がってくるのを待つ。まだ明るい。
グレード5.8くらい、ピン7本(2~3m間隔)長さは20m弱くらい。

トップアウトして下山準備後・・周りをみると・・。

このあと全員がトップアウトしたのが18時40分、だいぶ薄暗くなっている。
あわてて道具を片付けてそのまま下山道にとりつく。
下山道は頂上のすぐ裏にロープが結んである、それを手繰りながら下りはしごを伝い、拇と裏の山との鞍部まで20mほど下る。
鞍部からは右に(左は崖)沢があるのでゆっくりと下る。
左側に岩壁が出てくれば岩かべづだいに沢を下りていく。30分くらい下りたところで足元が変わるのでそこまでくればもう親指の基部くらいの高さに来ているだろう。進路を右の森の中に移して下っていく。ココからは崖はないので安心。森の中をまた迷いながら道まで出る。結局駐車場まで1時間あまりかかって19時50分に車に到着。もちろんヘッドライトは下山の時点でつけている。

ハーネスもつけたままで車に飛び乗り、すぐに港に向かうが、土庄20:10分はどうやっても悪あがきと腹をくくり、島で車内泊を決意・・。そうなれば気持ちも楽になる、コンビニの駐車場でギア等を片付けてすっきり身軽になってラーメン屋で乾杯。う、うううう、うまい!
その後もガソリンスタンドを探したり、コンビニの前のベンチで一杯やったりと、ゆっくりと島の夜は更けていく。
ちなみに始発のフェリーは5:30(池田港)、土庄港は6:30という事実を知った・・・。



下山途中のK村氏、急いでも仕方ない、ゆっくりと安全第一で沢を下る。

初めてのマルチピッチで100mの拇指嶽、しかも始めてのアプローチ、初めての下山道・・・運がよかったとは思わないし運に頼る気は毛頭ない。

もちろん時間的な厳しさは把握していたが行動中も全行程においてこの判断で正しかったと確信する。
フェリーにこそ乗り遅れたが・・・全行程、落ち着いて全ての行動を了えることが出来た。

暗いから危ない・・ということも無いだろう、明るくても暗くてもやる事は一緒、危険を引き起こす一番のきっかけは油断とパニックだろう。

ただ、今回の山行を口外して外出している限りは、当事者だけでなく周囲への心配を最小限にする行動をすべき・・その点についてはちょっぴり反省。

inageman


※その他、今回の山行について、事前の情報量があまり無かった為、アプローチ含め時間のロスが目立った。
ついては今後のよりよい山行のために、自作のダイレクト用のトポを準備しました。参考になってください、最新だと思います。
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(掲載のトポ及び、上記の内容については責任を負いません、自らの判断でご利用ください。)



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