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いなかの猫の天邪鬼部屋

第9話

OnAir~シーズン3・第9話~


#ヨンウンの仕事部屋

(ソファ-に座った二人。ギョンミン、ヨンウンを後ろから抱いている。)

ギョンミン : (ヨンウンの肩に顎を乗せている) ...忘れていたんだ...

ヨンウン : (見る) ...

ギョンミン : 大学卒業予備生の時書いたものなんだ。...あれを書いた後、考試を諦めた...

ヨンウン : (ちょっと驚く)...

ギョンミン : 法を勉強しながら、俺が本当にすべき事は何か...今俺がしている事は本当に俺がすべき事だろうか...そんな事を考えていたんだ。..(笑う) 幼い心に正義を追い求めるという事が、どれだけカッコ良く見えた事か..。勉強しか知らなかった俺が、それで何かをするという事は...本当に、輝くような事だった...

ヨンウン : .....

ギョンミン : バイトで資料を集める仕事をしたんだけど、その時、裁判場面を何度か見ることになったんだ。... (苦笑)...それが毒だった....。 正義はそんなに簡単に実現するものではなかったって...映画みたいなものを見ると、紆余曲折の末、酷い目に遭った人に自由を与える事が、エラくカッコ良く描かれているのに...現実は....(ため息).... 法に訴える正義の限界を何とかして言いたかったのが...(原稿を見て) それなんだ。

ヨンウン : 他に書いたものはあるの?

ギョンミン : ない。それが最初であると同時に最後だ...

ヨンウン : (虚脱) 何なの?初めてであんなふうに書けるもの?

ギョンミン : ...あれを書いた後、法は俺がすべき事ではないと分かったんだ。俺は俺の方式で自分の事をしようと思ったんだ。

ヨンウン : どうやって?

ギョンミン : (見て) 話を聞かせよう.. 俺の考えを多くの人々に話してあげよう...

ヨンウン : でも、どうして文を書かないでPDになったの?

ギョンミン : (苦笑) 書き物をしてすぐカネになるか?食べて暮さないとならないから...。幸いPDという職業も俺の声を盛り込むには悪くなかったし...それに上手く書く自信もなかったし...

ヨンウン : 勿体ないわ。初めてであの位書けるのだから、本当に凄い才能なのに...

ギョンミン : (見て、意味深長に) それは才能ではなく本気だったからだ。.. 俺が話さなかったか?感動は作って出来るものではないという事。...本気が盛られた言葉と文は常に感動を導き出すという事...

ヨンウン : (思い浮かべる) 話したと思うわ...そのような事を。...あの時も私、あなたに作家になればって言ったのよね?

ギョンミン : (笑う) そうだよ。

ヨンウン : だけど..自分の考えを文で表現するのは易しい事ではないわ。...私も文を書くけど、どんな状況に盛ればちゃんと伝えられるのか考えるだけで一週間、いいえ、ひと月掛かる時もあるわ...

ギョンミン : 君ははたくさん書くからそうなるんだよ。毎回同じ状況を作る事は出来ないから、ドラマ作家は、だから凄いんだと思う。一編で終わらせるわけじゃないから...(ヨンウンを見て) 尊敬する。

ヨンウン : どうしたのよ。恥ずかしいじゃない。...(ため息) 盛り込むものが足りないから、恥ずかしくなるような言葉に頼ろうとするのよね。...勉強しなくちゃ..

ギョンミン : .....それで...? この原稿で何をするんだ?

ヨンウン : (見る) うん..?うん...ヘギョンオンニがシナリオとして脚色するって。(笑う) あなたが書いたものだから私に任せるって..

ギョンミン : イ代表...ありがたい人だ...

ヨンウン : ...(ギョンミンの手を握る) ヘギョンオンニもありがたいし..あなたもありがたいし....

ギョンミン : .....

ヨンウン : あなたがどんな気持ちだったのか、分かるわ。...(胸がいっぱいになる。息を吸い込む。) 私、愛され過ぎるほど愛されて、あなたに...

ギョンミン : .... (ヨンウンの横顔を見て首にキス) だけどあまりにも遅過ぎた...ごめん...もっと早くしないとならなかったのに...

(ヨンウン、目を閉じる。ギョンミン、ヨンウンの顔を回してキス.....)


#賑やかな通り、昼

(楽な服装のセアとユミ、アイスクリームを持って歩いている。アクセサリーを売るリヤカーを見る。楽しく見えるセア。)

ユミ : ちょっとだけここにいてくれる?服を取っておいてもらった店があるから取りに行くわ。それとも一緒に行く?

セア : あ...足が痛いから、ちょっと座ってるわ。

ユミ : どこにいる?

セア : (そばの売場ショーウインドの前の階段を示して) あそこにいるわ。

ユミ : あそこ?大丈夫?

セア : (行って座る) ダメだって言うの?(また立ち上がる) あ。(バッグから薄い本を取り出す) これでも敷くわ。

ユミ : (呆れて言う) あなた...大丈夫?

セア : (見る)どうして?

ユミ : ....別に。...すぐ戻って来るわ。(行く)

(一人で残ったセア、サングラスを取り出して掛ける。通り過ぎる人々を見てぼーっとしている...)

(売場から出るサンウとチェリー)

サンウ : (セアをチラッと見て通り過ぎようとするが、通り過ぎる途中でまた振り返る) ....(立ち止まる)

チェリー : (サンウを見る) どうしたの?忘れ物?

サンウ : (チェリーに) 先に車に行ってろ。すぐ行くから。

チェリー : どうしたのよ。

サンウ : (見る) ....

チェリー : 分かったわよ....(脹れて、そのまま行く)

(サンウ、ぼーっと座っているセアを見てにやりと笑う。)

" 何をしているんでうか?そこで。"

セア : (顔なじみの声に頭を回す) .....(見る)

サンウ : ......(首をかしげながら見る)

セア : (頭を上げてじっと見る)....ストーキングが趣味ですか?

サンウ : (目をちらつかせる) ....ストーキングが趣味ですかって?

セア : (呆れる) ....(立ち上がって、その場を離れる)

(サンウ、セアを見て追い掛ける。)

サンウ : (セアの肩をつかんで) ちょっと待ってください!

セア : (ため息を吐き出す) 何です?(振り返る)

サンウ : (本を掲げる) これ、あなたのでしょう?

セア : (口をつぐんだまま本を引っ張る) ありがとう。(後ろ向きになって行く)

サンウ : (セアを見る) 少しは良くなったようですね。

セア : (立ち止まる) ...(振り返る) 今はちょっと忘れてくださいませんか?

サンウ : (微笑む) あなたが忘れたら。

セア : (睨む) 何の関係があるんですか?

サンウ : 別に。ユン作家が忘れれば、俺も忘れるようになると思うからです。

セア : 忘れました。良くなったように見えるのでしょう?あなたももう忘れてください。

サンウ : (見る) 本当ですか?

セア : はい。

サンウ : それではそのサングラスをはずしてみてください。

セア : (苛立つ) .....何なんですか?

サンウ : 目を見れば分かります。本当なのか嘘なのか。

セア : (目を閉じて堪える) 私にどうして付きまとうのか分かりませんけど、今は少し気を使って、もう行ってくださいませんか?

サンウ : そうですね。俺も自分がどうしてあなたに付きまとうのか分かりませんが、偶然は繰り返されれば縁だとも...やけに目に入るものですから。


セア : (呆れる) いい歳の人が...今はずせと?

サンウ : ...... そうですね (思う目) ....とにかくはずしてください。

セア : (サングラスをはずして睨む) 光栄ですね....

(にこにこしながら見るサンウ。睨むセア。通りにミジュが立っている)


#ヨンウンの仕事部屋

(ヨンウン、原稿を見てノートPCを叩く。コーヒーカップを手に取るが、中身は空...)

ヨンウン : ミジュ~、水をちょうだい!


#PD室

(ギョンミンの電話が鳴る。)

ギョンミン : はい、ママ。

オキシム : また~

ギョンミン : あ.... お母さん...

オキシム : フフ...忙しい?

ギョンミン : いいえ。どうして?

オキシム : 忙しくないならちょっと家に戻れないかい?チュニのママにちょっと持って行って欲しい物があるの。私は仕事部屋の場所も知らないし、チュニもいつ帰るか分からないし...

ギョンミン : 何なの?

オキシム : きのこを煎じた水。...コーヒーを飲む習慣だったから、辛い思いをしてるんじゃないかと心配で...。ちょっと苦いけど、水だけ飲むよりはいいかと思うの。

ギョンミン : (笑う) 分かりました。


#アパート前

(ギョンミン、車から降りる。前をチュニが歩いている。見て、急ぎ足でチュニの横に立つギョンミン。)

チュニ : (見る) .....(頭を回す)

ギョンミン : (見る)....

チュニ : こんな時間にどうしたの?

ギョンミン : お婆さんのおつかい。

チュニ : (見る) ママに持って行ってあげるもの?

ギョンミン : ああ。(知らない事はないのか?こいつは..)

チュニ : ....

ギョンミン : ....


#ヨンウンの仕事部屋

(ギョンミン、ヨンウンにコップを突き出す。)

ギョンミン : 飲んで。

ヨンウン : (見る) 何?

ギョンミン : 知らない。

ヨンウン : (顔をしかめる) 何だかも知らない物をを飲ませるつもり?

ギョンミン : いい物だから。

ヨンウン : 飲んだら死ぬ物じゃないわよね?

ギョンミン : (笑う) 俺、まだ君に保険は掛けてないから、心配しないで飲め。

ヨンウン : (飲む) ウッ....何よ?これ。

ギョンミン : え?死にそうか?

ヨンウン : ええ。死にそうな味だわ。

ギョンミン : どこが..(味わう) ...コーヒーと大差ないけど...

ヨンウン : コーヒーと大差ないって...香が違うじゃないの。何よ?これは。

ギョンミン : きのこを煎じた水だって言ってたけど。

ヨンウン : 誰が?

ギョンミン : ママが。コーヒーが飲めないなら、これでも飲みなさいって。

ヨンウン : ....(視線が下がる)

ギョンミン : (見る)..どうした?

ヨンウン : お母さんは...どうしてそうやって人を申し訳ない気持ちにさせるのかしら?

ギョンミン : (微笑む) .... ママはそういう人なんだ。

ヨンウン : (見て苦笑する) ....いただきます。飲むわ...

(ギョンミン、コップを渡す。ヨンウン、ゆっくりコップを傾ける....)







(原作出処:sonkhj1116さんのブログ



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