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いなかの猫の天邪鬼部屋

第34話

OnAir~シーズン3・第34話~


#通り書店前

(カン局長と向かい合ったサンウ、組んだセアの腕を解く。)

サンウ : (暖かい目でセアを見る) 車に行っていて。すぐに行く。

セア : (憂わしい目) ......そのまま行った方がいいんじゃない?

サンウ : (無理に笑む) ここで逃げるのは卑怯だと思う....。心配するな。殺しはしないだろう。

(カン局長、二人の姿を見て気まずそうな....)


#建物屋上

(カン局長とサンウ、向かい合って立っている。..サンウ、視線を低める。)

カン局長 : ここなら邪魔が入らないでしょう...

サンウ : はい。

カン局長 : (黙って見る) ........話があります。

サンウ : おっしゃって下さい...。拝聴します....

カン局長 : (ため息).....セア...ここにいる間は私の責任です。誰と付き合っても...いい大人にいちいち干渉するのもおこがましいが....

サンウ : .....

カン局長 : (見る) ...私が歓迎しない事は見当がつくと思います。チン代表.... あまり望ましくありません...

サンウ : はい、見当はついていました...

カン局長 : セアを...放してもらえまえんか?

サンウ : (瞼が震える) .... 申し訳ありません。

カン局長 : それは.... 出来ないという意味か...?

サンウ : 申し訳ありません。

カン局長 : (ため息) ....おい、チン代表。

サンウ : (目を閉じる)....申し訳ありません。

カン局長 : (漠々な) ...申し訳ないと言えばいいと思っているのか?いつまで申し訳ないとばかり言い続けるつもりだ?

サンウ : (胸が詰ったような) ...他の言葉は申し上げる事が出来ません。

カン局長 : (頭を倒してため息をつく) ハ~....

サンウ : (見る。すまない) 本当に申し訳ございません。

カン局長 : 一体...どうしてセアを....

サンウ : それは...私にもよく分からないんです...

カン局長 : (興奮する) 君は...答えられる事はないのか?

サンウ : .....今は...セアと別れられないという事以外、言える事はありません。.

カン局長 : (睨む) ......

サンウ : いっその事、私を....殴って下さい。

カン局長 : 言われなくてもそうするつもりだったさ。

(カン局長、拳でサンウの顔を打つ。サンウ、倒れる。)

カン局長 : 立て。一発ではダメだ。

(サンウ、立ち上がり、カン局長、拳を飛ばす。サンウ、倒れる。立ち上がり殴られ倒れるを繰り返す...)

(しばらく後、カン局長、倒れたサンウを見て息を整える。)

カン局長 : (息を吐き出す) ...... 何度も殴られたから許されたと勘違いするな。セアにチン・サンウは合わない。自分の事が分かっていたら、私の言った事がどういう意味かも分かるだろう?

サンウ : (感情が込み上げて来る。涙を堪える) ......

カン局長 : (睨む) ...... これから何が起こるか分からないぞ。私の目に付かないように気を付けろ。

(カン局長、非常階段に向かう。サンウ、座ったまま動かず床を見る。涙を溜め、空を見て涙を飲む..)

(ゆっくり立ち上がって非常階段に行く。階段を降りて行くサンウがチラリと振り返ると、開かれた非常口の後ろに立っているセアが声を出さずに泣いている。サンウ、感情が込み上げて来る。堪えていた涙が流れる..)

サンウ : ....車に居ろと言ったのに...

セア : (むせび泣く) ...ごめんなさい....本当にごめんなさい....

サンウ : (無理に微笑む) .... 自分のせいさ..


#放送局、カン局長強事務室

(カン局長、机の椅子に座って悩む。ため息をつく...)


#サンウの部屋

(セア、サンウの顔に軟膏を塗る。サンウ、顔をしかめる。)

セア : (泣き面で) これは何よ...目の下と、口元と...全部切れてるじゃないの...

サンウ : あ!...ヒリヒリするよ...

セア : (見る) ...痛いでしょう?

サンウ : (見る).... 痛くなくしてくれないか?

セア : (睨む) 少し善良に生きていれば良かったのに。

サンウ : (目を閉じてため息をつく) 何にしても後悔中だよ...

セア : (じいんと熱くなる) ....


#翌日、放送局

(ドラマ局に入って来るセア。ギョンミン、仕切り越しに見て怪しげな目。)


#局長室

(セア、入って来る。カン局長、驚いた目。)


#放送局屋上

(ベンチに座るカン局長。セア、立っている。)

カン局長 : 座りなさい。

セア : 立ったままでいます。

カン局長 : (ため息) 今は伯父さんが憎いだろう...

セア : .....昨日はそうでした。

カン局長 : (見る)...

セア : 今もある一面では憎いです。

カン局長 : そうか....

セア : .........伯父様。

カン局長 : 私も辛いんだ。今は恋に熱くなっていても.... そいつとの愛が全てでないと分かっているから....

セア : ......

カン局長 : .......(見る) 愛が全てではない。それが分かるからこう言うんだ。

セア : (ありがたい目) 伯父様の気持ちは分かります。私をどれほど可愛がって下さっているかも....

カン局長 : (見る)......それなのに別れられないのか?

セア : .......(微笑む) はい。

カン局長 : (ため息) 本当に出来ないのか?

セア : はい。

カン局長 : (手で顔を包む) .....本当に、やめさせる事さえ出来るのなら、何でもしたい...

セア : (ジーンとする) ありがとうございます、伯父様...

カン局長 : (ため息) .... あいつ.... 私が許しても、まだまだ道は遠いという事は分かるか?

セア : (微笑む) はい。

カン局長 : それじゃ...一つだけ聞こう。あいつがどうして好きなんだ?

セア : (笑う目) 私もよく分からないんです。運命みたいです。

カン局長 : (フ-) 運命とはまた....


#放送局廊下

(ギョンミン、電話する)

ギョンミン : イ・ギョンミンです。

サンウ : はい。

ギョンミン : .....何かありましたか?

サンウ : .....何ですか?

ギョンミン : .....ありましたよね?

サンウ : どうして分かりましたか?

ギョンミン : (苦笑) 俺が分からない事がありますか。


#夕方、居酒屋

(サンウ、怪我をした顔。ギョンミン、サンウを見て笑っている。)

サンウ : 何が面白くてそんなに笑うんですか。

ギョンミン : そうですね。何が面白いのか、やたら笑いが出ますね。

サンウ : (顔をしかめてため息)...世の中に俺の味方は一人もいないんだ..

ギョンミン : どうしてです?ユン作家がいるじゃないですか。

サンウ : 俺に、少し善良に生きていれば良かったと、痛い所を突いて来るんですよ。

ギョンミン : (苦笑) 本当ですか?

サンウ : (片手で顎を支えて) 自業自得だから何も言えなくて...

ギョンミン : (見る)....もっと前からそんなふうに善良に生きていれば....

サンウ : (眉をひそめ、顔をしかめる) 説教ばかりですね。耳が痛いですよ。

ギョンミン : .....

(時間流れて..)

サンウ : (ちょっと驚いて) セアが?

ギョンミン : はい。昼に局長室に入るのを見ましたが...それで何かあったのかと思ったんです。

サンウ : (考える).....


#仕事部屋

(セア、机に座って作業する。玄関ベルが鳴る、セア、立ち上がって玄関に行く。)

(インタホンを上げる。画面にサンウが見える。セア、微笑んで玄関を開ける。サンウ、黙って見る。)

セア : (見て) 入らないの?

サンウ : (セアの顔をうかがう)....

セア : どうしたの?

サンウ : 今日、放送局に行ったと..?

セア : (瞬き) どうして分かったの?....イ監督?

サンウ : (頷く)....

セア : (笑う) 入って。外でそうして立っていられても。

(サンウ、心配そうな顔で入って来てソファ-に座る。)

サンウ : もしかして...伯父さんと会ったのか?

セア : (微笑を湛えながら見る) ええ。

サンウ : (見る) ...... 変わりなかったか?

セア : どうして?私の事も殴ったかもしれないって?

サンウ : (苦笑) まさか女性を殴るなんて事は...(見る) 殴られたのか?

セア : (失笑) いいえ。

サンウ : (安心する).....(苦笑) 考え過ぎか.....

セア : (笑う) ....ただ話しに行ったの。

サンウ : 何の話を?

セア : あなたの話...

サンウ : (視線下げる) .... .. 言う事があったのか?

セア : 私は特に何も言わなかったわ。

サンウ : (見る)...

セア : 伯父さん一人で話して、一人で結論を下して...おしまい。

サンウ : (控え目な目) どんな結論が?

セア : やめさせる事さえ出来るのなら、何でもしたいって。

サンウ : (ため息).....

セア : でも....許してくれたのよ。

サンウ : (驚いた目で見る)...

セア : (いたずらっぽく) 多分昨日あなたを殴ったのがちょっとすまなかったと思っているのね。

サンウ : (苦笑) すまないって.... 元気さえあれば更にぶん殴る勢いだったけど.....

セア : .........(声が沈む) 伯父は.... 私をとても可愛がってくれたの。子供の時から...

サンウ : (見る)...

セア : 私の性格、私の固執、私の苦情。全部受けてくれたわ。私のような娘一人がいればいいと言って..

サンウ : (じいんと熱くなる)....

セア : 今度も私の固執に負けたの...。(見る) 本当に私を愛しているから....

サンウ : (考える目)...そうだったのか..?

セア : (頷く) ....だから殴られた事は忘れて。

サンウ : (呆れる目) 殴られた事を根に持つと思ってるのか?人を何だと思ってるんだ?

セア : (笑う) あなたを見て言う事じゃないわ...

サンウ : (顔をしかめて見る)...?

セア : 私を見て言う事なの。あなたを殴った事をどうしてもずっと根に持っていそうで...(やや苦い笑い)

サンウ : (見て苦笑する) やめろよ。君のためにした事じゃないか。

(セア、穏かに微笑む。サンウ、目を細くしてセアの手を握る....)






(原作出処:sonkhj1116さんのブログ



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